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ベーカー嚢腫の治療に難渋する人は多いと思います、。私の経験でも、そのような患者さんの治療には日々悩まされています。

その難渋する原因は、膝窩が腫れている理由を知らないために起こります。具体的に、膝窩のどの組織が腫れているのか、なぜその組織は腫れているのかを考える必要があります。そのためには、膝窩の解剖学的な知識が必要なことと同時に、その病態を理解しておく必要があります。

そこで今回は、膝窩が腫れる原因となる「ベーカー嚢腫」について解説します。

ベーカー嚢腫とは

ベーカー嚢腫とは、膝関節の後面にある「膝窩下滑液包」と「腓腹筋滑液包」という2つ滑液包に腫脹が起きて腫瘤となった状態のことを指します。この2つの滑液包は、膝関節腔とつながっているため、膝関節腔からの滲出液が貯留します。そして、膝関節腔との交通部位は後内側部であり、半膜様筋腱の近くにあるのが一般的です。

膝関節内の滑液が増加し圧力が高まることによって、この交通部位から後方滑液包に充満します。それによって、膝窩部が後内側に膨隆しベーカー嚢腫となります

これは、変形性関節症をはじめ、関節リウマチ、痛風、偽痛風、感染性関節炎などの膝関節疾患によって、二次的に滑液包炎を起こします。また成人とは違って、小児に起こる膝窩瘤は、膝関節包と交通がない、半腱様筋滑液包への慢性的な刺激によって起こるとされています。

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成人でもこのようなケースは見られることがあります。そのような場合は、原因が膝関節腔と半膜様筋滑液包のどちらにあるのかによって、治療方針は変わりますので、その鑑別は大切です。

ベーカー嚢腫の経過

基本的な経過としては、徐々に嚢腫が消えていくタイプ、ゆっくり拡大し膝窩動脈を圧迫するタイプ、さらに大きくなり、静脈閉塞を引き起こすような3つのタイプがあります。この中でも、3つ目の静脈閉塞を引き起こすようなタイプは外科的処置が必要になります。

ほとんどの場合は、外科的処置を必要としません。しかし、スポーツなどで嚢腫が自然破壊され、それによって静脈閉塞を引き起こす場合もあります。

このような場合の臨床症状としては、下腿の著名な腫脹、ホーマンズ徴候陽性、下腿の発熱、発汗、発赤などが挙げられます。とくに、深部静脈血栓症との鑑別が大切です。

以上のように、一般的なベーカー嚢腫は膝関節の腫脹が強くなることによって生じます。そのため、膝窩部の腫れがあるからといって、特別な処置が必要なわけではありません。

通常の膝関節疾患に対する治療のように、関節の腫脹が起こっている原因を取り除くことと、腫脹の軽減を促すように循環を促すような治療を行うだけです。それによって、自然と嚢腫は改善してくるはずです、