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理学療法において、腫瘍自体の治療に関わることはほとんどありません。しかし、整形疾患で理学療法が処方されている人でも、主訴である症状が腫瘍の随伴症状である場合はあります。このようなとき、理学療法士はこのことに気づき、医者に報告する必要があります。

疼痛、痺れなど理学療法士が対応する症状の多くは、腫瘍の随伴症状としても出現します。

そこで今回は、「癌の症状と特徴」について記します。

転移性がん

まずは、腫瘍の中でも転移性癌で、さらに理学療法士として遭遇しやすい症状を挙げて解説します。

転移性癌の特徴

以下に転移性の腫瘍により、よく生じる骨格系、神経系、呼吸器、肝臓の症状の特徴を書きます。

 ・骨格系の症状

骨格は、転移性癌により最も影響を受けやすい器官です。特に、乳房、前立腺、甲状腺、肺、腎臓の腫瘍は、骨に転移しやすい傾向にあります。骨格系の症状としては、骨痛、高カルシウム血症があります。

骨痛は、構造ダメージ、骨吸収の速度、骨膜刺激、神経絞扼が原因で起こります。症状の特徴は、深部痛で難治性、さらに局在性に乏しいです。活動、荷重、夜間により悪化し、睡眠や臥床によって軽減しません。

高カルシウム血症は、骨転移により、骨溶解が生じることで起こります。これは乳癌、骨髄腫によくみられます。高カルシウム血症の症状としては、以下のような、中枢神経症状、筋骨格、心血管、胃腸症状が挙げられます。

中枢神経症状:嗜眠状態、不活発状態、頭痛、うつや無気力、易刺激性、錯乱状態
筋骨格系症状筋力低下、筋の弛緩、骨痛、病的骨折
心血管系症状:心停止、高血圧
胃腸系症状 :食欲不振、吐き気・嘔吐、腹痛、便秘、脱水、煩渇多飲

 ・神経症状

腫瘍の浸潤による神経系の圧迫により起こることがあります。しかし実際は、病的骨折、二次的変形をもたらす重度な破壊的骨溶解性病変によることが多いとのことです。

硬膜外脊髄圧迫の最も多い原因は、肺癌と乳癌ですが、リンパ腫、多発性骨髄腫、前立腺癌、腎臓癌も脊髄や神経圧迫の原因となりやすいです。また、転移性脳損傷病変の半数以上も肺癌と乳癌が占めています。

 ・腫瘍随伴症候群

脳への転移、内分泌・水分・電解質の異常、腫瘍による中枢神経系への間接的影響によって、神経学的問題が生じます。これらに起因する、腫瘍やその転移部位から離れたところに徴候、症状がみられるとき、腫瘍随伴症候群といいます。

この症候群は、肺の小さな細胞癌によくみられます。この臨牀所見は、原発性の内分泌・代謝・血液学的・神経筋障害に類似することがあります。そして、腫瘍随伴症候群の経過は腫瘍の経過に一致します

以下に、腫瘍随伴症候群の臨床症状と徴候を載せます。

・発熱
・皮疹
・ばち指
・色素沈着障害
・関節痛
・異常感覚
・血栓性静脈炎
・近位筋筋力低下
・食欲不振、倦怠感、体重減少

 ・呼吸器症状

肺は腫瘍細胞を濾過する最初の器官であるので、肺転移は最も多く見られる。実質性転移は腫瘍細胞が拡大し、壁側胸膜に達するまでは無症候性です。胸膜痛、呼吸困難が自覚される初期症状かもしれません。

肺癌は、最も脳へ転移しやすい原発性腫瘍で、神経学的徴候が認められる場合は、潜在性の肺腫瘍の症状の可能性があります。

 ・肝臓症状

肝臓は、消化管から入ってくる血液を濾過するため、胃、結腸、直腸、膵臓の主な転移部位となります。臨床では、両側性の手根管、足根管症候群、全身性の倦怠感、疲労を伴う腹痛および圧痛、右下1/4腹部痛、右肩痛などの症状に注意が必要です。

 ・早期の警戒徴候

米国癌協会は、癌の存在を示唆し、医学的評価を必要とする7つの警戒徴候を公表しています。理学療法士として、まずはこの7つの徴候に注意する必要があります

・排尿・排便習慣の変化
・6週間で治癒しない痛み
・異常な出血や分泌物
・乳房等におけるしこりやこぶ
・消化不良や嚥下障害
・いぼやあざの明らかな変化
・持続性の咳や嗄声

*近位筋の筋力低下
深部腱反射の変化

とくに理学療法士としては、「近位筋の筋力低下」、「深部腱反射の変化」に注意する必要があります。

皮膚癌の特徴

皮膚癌は障害される細胞のタイプによって、いくつかの種類に分類されます。その中でも、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、悪性黒色腫の3つはもっともよくみられる皮膚癌です。皮膚癌の原因は、よく知られている紫外線への長期的あるいは間欠的暴露です。その他にも皮膚癌のリスクファクターは多くあります。

以下に、そのリスクファクターをまとめます。

非黒色腫性皮膚癌 悪性黒色腫
・白い肌、ブロンドあるいは赤い髪
・男性
・年齢増加
・日光への暴露の蓄積
・白い肌、ブロンドあるいは赤い髪
・男性
・上背部の顕著なそばかす
・短い、強い日光暴露
・20歳前の3回以上の激しい日焼けの既往
・3年以上の屋外での夏の仕事や思春期のレクレーション
・光線性角化症の存在

早期の黒色腫の臨床徴候の特徴として、非対称性、不明瞭な境界、黒・褐色・赤・青色、直径6㎜以上が挙げられ、これらが認められた場合には注意が必要です。また、過敏およびかゆみ、圧痛、痛み、6週間以上治癒しない腫れ物がある場合も、注意が必要です。

乳癌の特徴

乳癌は、女性の癌で2番目に多く、死亡の原因としても2番目に多いとされています。遺伝によるものは全体の5%に過ぎず、年齢、人種、喫煙などその他の要因によるものがほとんどです。一般原理として、乳癌のリスクは一生のエストロゲン暴露の合計に関与しているとされています。

以下に乳癌のリスクファクターを挙げます。

・女性
・白人
・45~70歳
・一親等血縁者の乳癌
・癌の既往(乳癌、子宮癌、卵巣癌、結腸癌)
・エストロゲンへの暴露
初月経の年齢<12歳
閉経時の年齢>55歳
未経産
35歳以上の初出産
環境エストロゲン

*乳癌症例の70%以上は、確立されたリスクファクターがない

乳癌の転移は全身に起こります。その中でも骨、リンパ節、肺、脳、中枢神経系、肝臓への転移は多く、肝臓や中枢神経系への転移は生命予後を不良にします。通常、硬膜外転移による脊髄圧迫により、背部痛、下肢筋力低下、排尿、排便症状が出現することがあります。

乳癌の症状としては、初めは境界のはっきりしない圧痛のない、硬いしこりから成ります。好発部位は乳房の外側1/4と乳輪部で、軽度の皮膚、乳首の陥没は注意が必要です。また、乳首からの水性、漿液性、血性の排出物は早期徴候であり、しばしば、良性の疾患に関連しています。

乳癌の人の約70%は無痛性のしこりを訴えます。転移が認められると、腕の浮腫や背部痛、黄疸などが出現します。

乳癌の臨床症状を以下にまとめます。

・圧痛がない、硬いしこり
・皮膚や乳首の陥没
・乳首からの滲出液
・乳首のびらん、陥没、肥大、かゆみ
・発赤や発疹
・乳房の全体的な硬さ、肥大、縮小
・腋窩のしこり
・腕の浮腫
・骨痛や背部痛
・体重減少
・黄疸

婦人科系癌の特徴

子宮癌、卵巣癌、子宮頸癌は女性によくみられる癌です。

子宮癌

子宮癌は婦人科系癌の中でもっともみられるもので、通常、閉経後の55~75歳の女性に起こります。リスクファクターとして、子宮内膜症、長期的なエストロゲン療法、タモキシフェン(乳癌の治療)が挙げられます。

理学療法士が遭遇する臨床症状としては、異常な膣出血を伴わない骨盤痛が最も多いかと思います。以下に子宮癌の臨床徴候をまとめます。

・閉経後の膣の出血やおりもの
・持続する不規則な閉経前出血
・腹部や骨盤の痛み
・体重減少、疲労

卵巣癌

卵巣癌は婦人科系癌の中で、2番目に多い癌です。通常、40~70歳に発症のピークがあります。排卵は卵巣癌のリスクファクターで、排卵による、卵巣表面の破壊が、卵巣細胞を刺激し、分裂し表面を修復させる排卵のメカニズムに関連しているとされています。

その他のリスクファクターとしては、未経産、癌(乳癌、子宮癌、結腸直腸癌)の既往、家族歴、遺伝、早期の閉経が挙げられます。他にもホルモン補充療法、排卵促進剤、乳糖不耐症、高脂肪食、コーヒーやアルコールの過剰消費も可能性として考えられます。

以下に卵巣癌の臨床徴候をまとめます。

・持続性の曖昧な消化管症状
・腹部の不快感、鼓腸
・消化不良、おくび
・早期満腹感
・40歳以上の女性の軽度の食欲不振
・頻尿
・骨盤の不快感や圧迫
・腹水、頭痛、骨盤のしこり

子宮頸癌

子宮頸癌は婦人科系疾患の中で3番目に多い癌です。前浸潤では30~40歳の女性に多く、浸潤性の癌は40歳以上に多く認められます。子宮頸癌のリスクファクターとしては、早い年齢での最初の性交、妊娠、性感染症の既往、多くのセックスパートナーが挙げられます。

早期の子宮頸癌には症状が見られません。進行すると、性交時痛、性交後出血、月経間出血、異臭性の水様性のおりものが出現します。

乳癌や婦人科系の癌に関しては、男性は少し聞きにくいところもあるかもしれません。しかし、その患者さんの命がかかっていますので、どのような疾患でも丁寧な問診を行うことが大切です。

血液・リンパ系の癌の特徴

血液の癌は骨髄から生じ、急性白血病、慢性白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫があります。これらの癌は、血液細胞の成長制御障害を特徴とします。

また、リンパ腫の中でも悪性のリンパ腫は、ホジキン病と非ホジキン病のどちらかに分類されます。

白血病

白血病の半数は急性であり、2~4歳の子どもに好発し、65歳以上で再びピークを迎えます。急性の場合は、適切な治療を行わないと数日から数か月で100%死亡するとされています。一方、残り半数の慢性の場合、慢性の経過をたどり、25~60歳の間に発症します。

白血病は骨髄で発達し、白血球細胞の前駆物質の異常な増殖、および放出を特徴とします。この疾患の臨床症状の多くは、正常な成熟した機能的な細胞の欠如と関係します。

赤血球細胞の産生減少は貧血を、血小板産生の減少は血小板減少症を引き起こします。また、正常な白血球細胞産生の減少は、易感染性を引き起こします。また白血球細胞は、肝臓、腎臓、肺、心臓、脳のような生命に重要な器官に侵入、浸潤します。

主な臨床症状は、骨髄不全による疲労、出血、易感染性です。また、白血球およびリンパ腫のようなリンパ増殖性悪性腫瘍は滑膜を障害し、リウマチ疾患を示唆するような症状を引き起こすこともあります

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急性リンパ性白血病の子どもには、関節痛、浮腫がみられることが多いとされています。これは、白血病性滑膜浸潤、関節内出血、腫瘍に対する滑膜の反応、結晶誘因性関節炎の結果によるものとされています。そのような場合、大関節の非対称性障害がもっともよく観察されます。

以下に臨床症状をまとめます。

・異常出血、皮膚の出血傾向、点状出血、鼻血および歯肉出血、血尿、直腸出血
・感染、発熱
・筋力低下、易疲労性
・リンパ節の肥大
・骨、関節痛
・体重減少、食欲低下
・左上腹部の痛みや肥大(脾腫)

多発性骨髄腫

多発性骨髄腫は、広範囲に広がる骨溶解性病変を伴う悪性腫瘍であり、レントゲン上で骨の穿孔欠損がみられます。若年者から高齢者まで幅広くみられ、50~70歳の間にピークがあります。

骨病変、高カルシウム結晶は、ほとんどの血液学的症状においては、多発性骨髄腫およびヒトT細胞白血病、リンパ腫ウイルス感染に関連した成人のT細胞白血病、リンパ腫を除いてあまり起こりません。

この病気に最もみられる合併症は、骨破壊、腎不全、貧血、神経学的異常です。発症は潜在的で緩徐性であり、発症前に骨盤、脊椎、肋骨に初期症状がみられます。また、運動により悪化する背部痛や骨痛がみられる場合もあります。

骨破壊は、骨髄への形質細胞の浸潤が原因で生じます。運動により悪化することが特徴です。そして、骨破壊に伴い、高カルシウム結晶が起こります。高カルシウム血症になると、カルシウムを体内から排出するために、意識混濁、尿量増加、食欲低下、腰痛、便秘、嘔吐が起こり重篤な脱水が置きます。

また、カルシウムの排泄のために腎臓に負担がかかり、腎不全も引き起こします。

骨髄腫の約10%には、アミロイドーシスがみられます。これにより、神経、筋、腱、靱帯に影響を及ぼし、手や手指の痛み、痺れ、感覚消失などが起こります。

多発性骨髄腫患者の約10~15%に、より重篤な神経学的合併症が認められます。通常、脊髄圧迫は疾患の早期にみられ、背部痛が疾患発見の手がかりになることも多いです。この場合は、咳やくしゃみにより悪化する神経根痛を伴います。

以下、臨床症状をまとめます。

・再発性のバクテリア感染
筋力低下、疲労を伴う貧血
・出血傾向
・骨破壊(骨痛、特発性骨折、骨粗鬆症、高カルシウム血症)
・腎障害
・神経学的異常

ホジキン病

ホジキン病は、リンパ組織の慢性の、進行性腫瘍性疾患であり、無痛性のリンパ節肥大から脾臓および肝臓のようなリンパ外部位に進行することを特徴とします。ホジキン病のピークは若年青年、高齢者にみられ、女性に比べ男性の発症率が高いです。

ホジキン病の成長、広がりのメカニズムは不明です。隣接構造、リンパ性に全身に広がります。また、血行性に広がる可能性もあります。

臨床症状は通常、頚部、腋窩、鼠径部の無痛性、リンパ節肥大として現れます。理学療法士として、この症状を見逃さないことは大切です。リンパ節は大きさ、一貫性、運動性、圧痛を基礎として評価します。直径が1㎝以上で、硬くゴム様の圧痛があるものは異常性が疑われます。感染を伴うリンパ節肥大は、ゆっくり成長する癌にみられるリンパ節よりも圧痛があります。

リンパ節は感染に反応して肥大するので、これらのリンパ節が4週間以上みられるか、1領域以上でみられるものでなければ、医師に紹介する必要はありません。

通常、大きさ、形、圧痛、一貫性の変化はレッドフラッグです。

他の早期症状としては、原因不明の発熱、寝汗、体重減少、かゆみがみられることがあります。
症状は肥大したリンパ節が隣接構造を閉塞、圧迫したときに生じます。例えば、上大静脈の圧迫によって、顔面、頚部、右上肢の浮腫、尿道の閉塞により腎不全などが生じます。

以下、臨床症状をまとめます。

・無痛性、進行性の一側性リンパ節肥大で、しばしば頚部にみられる
・全身のかゆみ
・原因不明の発熱、寝汗
・食欲不振、体重減少
・貧血、疲労、倦怠感
・黄疸(肝臓の圧迫)
・浮腫
・空咳、呼吸困難、胸部痛、チアノーゼ(縦隔リンパ節の肥大)
・神経根痛、対麻痺(脊髄の圧迫)

非ホジキンリンパ腫

非ホジキンリンパ腫は、疾患が通常、最初に比較的広がるということを除いてホジキン病とほぼ同様の臨床像を呈します。

以下、臨床症状をまとめます。

・リンパ節肥大
・発熱
・寝汗
・体重減少
・出血
・感染
・原因不明の皮膚の発赤、全身のかゆみ

以上のように、血液・リンパ系の癌も初期症状は理学療法士が発見しやすいものが多いです。覚えることは多いですが、理学療法士として頭に入れとく必要がある知識だと思います。

肉腫

肉腫は、結合組織に起こる多彩な腫瘍で、骨、軟骨、筋、線維性組織、脂肪、滑膜などに起こります。

癌は上皮組織で皮膚、大腸、胃、乳房、肺のような構造を侵します。一方、肉腫は結合組織に起こります。また、癌はリンパ系を経由し転移しますが、肉腫は血行性に転移することが多いです。

軟部組織肉腫

軟部組織肉腫は、成人では四肢、体幹、後腹膜部の順、子供では、頭頸部、泌尿生殖部、四肢の順に起こります。軟部組織肉腫は、非症候性の軟部組織のしこりとしてあらわれることが多いです。最もよくみられる症状は浮腫と痛みです。骨盤肉腫では、下肢の浮腫と大腿神経や坐骨神経領域の痛みがみられることがあります。

急性および悪性軟部組織病変を鑑別するための、信頼性のある身体所見はありません。そのため、持続するあるいは成長するすべての軟部組織の塊は、医師に報告する必要があります

骨腫瘍

原発性骨癌は小児および若年成人に好発し、2次性骨腫瘍あるいは転移性腫瘍は原発性癌がみられる成人に起こります。

激しい痛みが突然発症するという病歴は、通常、病的骨折の合併症を示唆します。病変が骨の境界を超えると局所性の浮腫がみつかります。良性の場合は、硬く圧痛もないですが、悪性の場合は、広範囲にみられ、しばしば圧痛があります。病変が関節に近い場合は、痛みや可動域制限を伴います。

1週間以上持続、夜間に悪化、睡眠をも妨げる骨痛(荷重時痛)は骨癌に最もみられる症状です。今回は、代表的な骨肉腫、ユーイング肉腫、軟骨肉腫について説明します。

骨肉腫は、骨癌の中で最も多くみられ、10~25歳の男性に好発します。そして、骨成長が盛んな長管骨の骨端に生じます(90%)。骨にはリンパがないため、転移は血行性に起こり、肺、胸膜、リンパ節、腎臓、脳、他の骨への転移がよくみられ、早期に広がります。

臨床症状としては、病変領域の疼痛、圧痛のあるしこり、病的骨折、偶発性の体重減少、倦怠感、・疲労などが挙げられます。

ユーイング肉腫は、5~16歳の男子に好発します。これはほとんどの骨が障害される可能性があります。転移はリンパ性にみられることもありますが、主には血行性で、肺、骨に転移しやすいです。臨床症状としては、増悪かつ持続性の疼痛・骨上の浮腫、発熱、疲労、体重減少などが挙げられます。

そして軟骨肉腫は、最も見られる悪性の軟骨腫瘍であり、40歳以上に成人に好発します。長管骨に見られることが多く、胸骨と肩甲骨に最もよくみられます。通常、比較的ゆっくり成長する軟骨肉腫ですが、腫瘍血管において血栓を形成する傾向にあります。そのため、肺塞栓、肺への転移性の広がりのリスクの可能性が高くなります。

臨床症状としては、背部や大腿部痛、坐骨神経痛、膀胱症状、一側性に浮腫などがあります。骨盤軟骨肉腫はしばしば大きく、背部や大腿部への関連痛、仙骨神経叢刺激による坐骨神経痛、膀胱頚部の障害による、泌尿生殖器系症状、腸骨静脈閉塞による一側性の浮腫などが出現します。

原発性中枢神経系腫瘍

中枢神経系腫瘍は、約80%が頭蓋内、残りが脊髄および末梢神経に起こります。頭蓋内病変のうち、約60%は原発性であり、肺癌、乳癌、腎臓癌、消化管系の癌からの転移が多いです。

ニューロンは再生能力に乏しいため、腫瘍性変化の可能性が少ないですが、グリア細胞は腫瘍性変化が生じやすいです

また、全ての中枢神経系腫瘍は、たとえ組織学的に良性であっても、脳内圧上昇による致死的影響がみられ、重要な構造近くに腫瘍が位置するために、潜在的には危険です。そして、原発性の中枢神経系腫瘍はリンパによるドレナージがなく、血行性の広がりも起こり肉ため、めったに中枢神経系外に転移することありません。

脳腫瘍

脳腫瘍には原発性と転移性があります。癌は脳脊髄液経路性に広がるため、脳は転移の好発部位です。実際、転移性脳腫瘍はおそらく、もっとも多いタイプの脳腫瘍です。そのため、いかなる神経学的徴候も、中枢神経系への癌転移の潜在性の症状を疑う必要があります。脳転移が起こりやすい癌は、肺癌、乳癌、黒色腫、結腸癌、腎臓癌です。

脳腫瘍により、よくみられる臨床症状は頭痛と性格変化です。頭痛は脳腫瘍患者の30~50%に認められます。痛みは前頭部、後頭部にみられ、間欠性、体位変換、立位による症状の悪化などの特徴があります。また、排便時、前かがみ姿勢、重量物の運搬、咳のような脳圧を亢進させるような活動によっても増悪します。

その他の症状は、腫瘍が位置する場所によって生じます。病変が運動皮質で成長すると、筋力低下、片麻痺がみられ、小脳で成長すると、協調性障害があらわれます。

以下、臨床徴候をまとめます。

・脳圧亢進(頭痛、吐き気、嘔吐)
・視覚変化
・精神機能の変化
・集中困難
・記憶力低下
・性格変化、易刺激性
・睡眠の増加
・筋力低下、麻痺、感覚変化
・膀胱障害
・反射亢進、クローヌス

脊髄腫瘍

脊髄腫瘍は、脳腫瘍に比べると頻度は少ないです。長く、縦隔に近いため、胸椎に転移性の腫瘍がみられることが多いです。臨床症状としては、80%以上に脊髄病変高位の背部痛が認められ、臥位、荷重、くしゃみ、咳で悪化します

背部のベルト用分布の痛みがみられ、鼠径部、下肢に広がります。持続性もしくは間欠性で、安静時痛、夜間時痛があり、睡眠障害を引き起こします。

脳腫瘍と同様に、腫瘍が位置する部位によって症状が異なります。脊髄圧迫は脊柱内腫瘍の病的特徴で、それにより感覚障害、筋力低下、筋委縮などが生じます。

以下、臨床徴候をまとめます。

・疼痛
・感覚低下、筋力低下、筋委縮、麻痺
・胸腰椎部の痛み
・一側性の鼠径部痛や下肢痛
・安静時痛、夜間時痛
・排尿・排便障害

癌のスクリーニングのためのヒント

・50歳以上
・癌の既往
・胸部、乳房、腋窩、肩に原因不明の痛みがみられる女性
・背部、骨盤、鼠径部、股関節に痛みがあり、腹部の症状や触診可能なしこり
・早期の警戒徴候
・1ヶ月以内の5㎏以上の体重減少
・安静や体位変換により変化しない持続痛
・夜間痛
・新たな神経根圧迫症状
・リンパ節の大きさ、形、圧痛の一貫性の変化、無痛性のリンパ節が複数あり、4週以上ある

癌には以上のような特徴があります。まずは、問診の中で、スクリーニングを行うことが大切です。その中で、気になる部分があれば、さらに深く検査するか医者に任せれば良いのです。