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大網は、理学療法士にはあまり馴染みがないものかと思います。腹部を前方から開いていくと、壁側腹膜の中にあり、内臓の前方に位置する腹膜組織です。実は、この大網は身体にとって重要な役割があり、理学療法士としてもこの解剖、機能を理解しておくことは必須になります。

そこで今回は、この大網について解説します。

大網の解剖

大網は大きなエプロン状をしており、胃の大弯と十二指腸上部に付着しています。そこから、横行結腸、空腸、回腸の上にかぶさり、下方に垂れ下がっています。そして、後方へ反転して上行し、後腹膜に達する前に横行結腸上面の腹膜と横行結腸間膜に癒着します。

これは、発生学的に胃の後方にあった、背側腸間膜の一部が胃の回転と共に前方に押し出されたものです。押し出されたものが、生後癒着・閉塞し、横行結腸間膜がここに癒着します。また、大網は薄い膜で、常に脂肪が付着しています。ここに付着する脂肪は、腸間膜(根)に付着する脂肪と合せて、一般的に内臓脂肪と呼ばれます。

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大網の機能

大網は、結合組織を走る血管を中心にして脂肪組織やリンパ球、形質細胞などが集まります。また、移動性も高く、腹腔内で炎症が生じると、その部位へ移動します。そして、ため込んだ脂肪をクッションのように使用し、保護し、その部位の止血・消炎処置を行ってくれるのです。

つまり、大網は腹腔内の異常を感知し、その対処を行っているのです。しかし、この特徴ゆえに欠点もあります。

それは、異常部位に移動した大網は、その部位で癒着してしまうということです。実際に検体の解剖を行った際も、大網はある臓器に集中するようにして、癒着している事が多いとされています。そして、大網は腹膜の一部です。腹膜はさまざまな臓器、そして全身とつながっています。つまり、大網に癒着があると全身に影響を及ぼすということです。

臨床では、大網がどこに癒着しているかを触診することで、全身に影響する筋膜性の制限を探し出しだします。そして、その部位をリリースすることで、大網の癒着に由来した症状は改善されます。

以上のように、大網は体にとって重要な役割をしていますが、その機能ゆえに多くの症状の原因になりやすいです。今まで大網について考えたことがなかった方は、大網の体に及ぼす影響について考えてみると、また臨床の幅が広がるかと思います。