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大腿筋膜張筋は、理学療法の臨床においても、よく問題点として挙げられる筋です。大腿筋膜張筋は過緊張が生じやすく、それによって、膝や股関節、腰などさまざまな部位の痛みにつながります。そして、多くの人が大腿筋膜張筋を緩めるような治療を行います。

しかし、大腿筋膜張筋の過緊張によって、そのような痛みが生じているというだけで、単純に大腿筋膜張筋を緩めてよいのでしょうか。大腿筋膜張筋が緊張しやすいのは理由があります。

そこで今回は、この大腿筋膜張筋の機能について解説します。

大腿筋膜張筋の役割

大腿筋膜張筋は、字のごとく「大腿筋膜を緊張させる」役割があります。この筋が収縮することによって、腸脛靭帯が緊張し、その状態が大腿筋膜に伝わります。筋膜は適切な張りがあることにより、その中にある筋の収縮を促します。また、筋膜にはリンパの流れを正常にする、全身のバランスを整えるなどの作用があります。

つまり、大腿筋膜張筋には、大腿筋膜に包まれる筋が適切に働くために、筋膜の緊張を維持する役割があるということです。そのため、大腿筋膜張筋が過緊張を起こしているときは、大腿筋膜の張りを強くしなければならない状態であると考えることができます。

例えば、内側広筋の収縮のために、大腿筋膜の緊張を強めていたとします。このとき、大腿筋膜張筋を緩めてしまうと、内側広筋は正常に働かず、膝関節の安定性が低下してしまいます。

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そのすると、体にとって悪いものと考えていた大腿筋膜張筋の緊張を緩めることで、結果的に、膝関節が壊れてしまうかもしれません。

その他にも、大腿筋膜張筋は股関節、膝関節の外側の支持性の役割があります。これは、解剖から考えると明らかです。大腿筋膜張筋は上前腸骨棘から大転子を包み込むように、腸脛靭帯に移行します。そして、腸脛靭帯は膝関節の外側を通り、膝の内反に拮抗するような走行をしています。

つまり、股関節部では大転子を関節窩に押し込むような作用があり、膝関節部では関節を外反させるような働きがあります。

そのため、股関節や膝関節における安定性が低下していた場合、代償として大腿筋膜張筋が緊張し、安定性を確保している可能性があるということです。そのようなときは、股関節や膝関節の問題を引き起こしている原因を解消することで、結果的に大腿筋膜張筋の過緊張は改善するはずです。

このような場合も、原因を考えずに大腿筋膜張筋を緩めると、安定性がなくなり関節が壊れてしまう可能性があります。

以上は役割の中の一例ですが、大腿筋膜張筋が緊張しやすいのには理由があります。簡単にいうと、大腿筋膜張筋は、関節が破壊されないように頑張っていると言えます。

このように、体のために頑張っている筋を、「ただ硬いから」という理由で緩めるのはいかがでしょうか。もう一度、この大腿筋膜張筋のみではなく、筋が硬くなる理由について考えてみてください。