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病院において、理学療法の処方を受けた患者さんで、「炎症」が訴えを引き起こしている原因であることは多いです。あなたは炎症が原因であるとき、どのような対応をしているでしょうか。

そこで今回は、炎症に対して理学療法士として何が出来るのかを私見を含めて述べます。

炎症は自然な治癒反応

前提として「炎症は治癒に必要な反応である」ということだけは述べておきます。もし、組織が傷ついて、炎症が生じなかったら、その組織は修復しません。炎症が起こることにより、局所の壊死細胞は除去されます。そして、組織修復に必要な成分が運ばれ、修復されます。

炎症「症状」とは、この修復過程に付随しておこる症状であり、組織修復のための炎症反応が正常に起こっている証拠ともいえます。

しかし、多くの場合、炎症は良くないものとして捉えられます。悪いのは「炎症反応が起こらないといけない状況が長引いている」ことであり、「炎症が起こっている」ことではないのです

つまり、炎症反応が起こらないと組織の修復は起こりません。

炎症に対して理学療法士としてできること

炎症反応を、各時期における反応とその役割を考えていくと、理学療法士として何が出来るかが見えてきます。

急性期

血管反応が主になります。これは、病原性物質や異物を局所にととめ、破壊するための初期反応です。病原性物質や損傷した壊死細胞の除去のため、損傷部位に白血球が必要になります。そのため、局所の血管は拡張し血流量が増えます。

さらに、血管の透過性が増強し、損傷部位への白血球の浸潤が増え病原性物質や壊死細胞を貪食します。そして、壊死細胞を貪食した白血球は、リンパ管を通り除去されます

この反応は、組織の修復に必要な正常反応です。

この時期は、出血と浮腫が起こります。血管損傷がごく小さい場合は、自然な止血反応で十分です。しかし、血管損傷が重度、もしくは広範囲の場合は、自然な止血反応だけでは不十分です。

もし、血管損傷が重度で、うっ血性浮腫が形成されると、虚血により「低酸素症」を引き起こします。さらに、もともとの細胞だけでなく、周囲の細胞にも同様に低酸素状態をもたらします(二次的低酸素症)。二次的低酸素症、細胞壊死、浮腫は静脈潅流とリンパの流れを抑制し、腫れを悪化させます。

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以上のことにから、この時期に必要なことは「うっ血性浮腫の抑制(二次的低酸素症、細胞壊死の予防)」となります。

亜急性期

食作用が終了すると、急性炎症は終了します。急性期と亜急性期の違いは、白血球の違いです。急性炎症時の貪食作用は好中球が主ですが、亜急性期は単球、マクロファージが中心になります。このマクロファージは長期生存可能な食細胞で、約2週間持続します。

この反応も正常な反応です。この時期に、食作用活動によって病原性物質を除去できなかったら、炎症は慢性炎症へと移行します

慢性期

慢性炎症は損傷組織が、急性、亜急性期の食作用により病原性物質や異物を除去できなかった場合に、炎症が継続してしまう状態です。理学療法の臨床では「機械的刺激」が持続することにより、再発性の微細損傷が生じることで慢性炎症に移行します。

マクロファージの継続的な存在に加え、損傷組織によるリンパ球増加が起こります。

リンパ球は、病原菌の侵入に対する特異的な身体防御反応に関わる、一次的非食作用細胞です。簡単にいうと、リンパ球は、特定の抗原のみを認識し、それに対して反応します。

つまり、特定の刺激に対して反応しやすくなっている状態です。

これが、慢性炎症における大きな問題となります。通常では反応しないようなわずかな刺激でも、炎症を再燃してしまうということです。

以上のことから、この時期に必要なことは「メカニカルストレスの除去」「局所に停滞している慢性炎症に関わる物質の除去」となります。

以上のことから、理学療法士としてできることをまとめます。

急性期

・うっ血性浮腫の抑制のためのRICE(安静、寒冷、圧迫、挙上)処置
・正常な血管反応の促通(静脈潅流・リンパドレナージュの促通)

慢性期

・メカニカルストレスの除去
・静脈潅流・リンパドレナージュの促通

理学療法士として(P)RICE処置やメカニカルストレスの除去は、多くの人が行っていると思います。加えて「静脈潅流・リンパドレナージュの促通」という視点を追加すると、炎症沈静の円滑化に役立つはずです。