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理学療法士は、患者さんの身体をみていく中で、常に「一番の原因はどこにあるのか?」ということを考えると思います。その方法として、骨や筋膜、筋の運動連鎖を考慮して仮説を立てたり、実際に動作観察や触診でどの部位が一番初めに異常な動きをするかを確認したりします。

しかし、実際にどこが一番の原因なのははっきりしないことが多いのではないでしょうか。多くの仮説や視診、触診による検証は、還元論的な方法に基づいており、考えられる原因が無数に出てきてしまうため、結局どこが原因なのかを絞ることが難しくなります。

今回は、私自身の「一番の原因の考え方」について書きます。

四肢の末端が原因となるか?

足部から治療の介入を行う人は多いのではないでしょうか。足底板などがその代表で、その治療効果は明らかです。特に足底は、二足歩行を行う人間にとって、唯一の地面との接触面であり、その身体への影響はとても大きいものです。

その中でも、距骨下関節について考えてみます。距骨下関節の過回内や過回外の修正を行うことは多いです。ではどのような状況で、このような変位が起こるでしょうか。多くは、荷重のアンバランスや筋のアンバランスなどで説明されると思います。先天性に問題がある人を除いて、何も原因がなくこのような変位が起こることは考えられません。

では、この荷重のアンバランスや筋のアンバランスは、最初に生じる現象、つまり一番の原因になるのでしょうか。私は、これが根本的な原因になるとは考えません。なぜならば、この二つのアンバランスも、さらにそのアンバランスを引き起こす原因があると考えるからです。

例え職業特性などで、日常生活上でそのようなアンバランスが起こりやすい状態であっても、その他の身体機能が正常であれば、そのような異常は生じないと考えます。しかし、一番の原因でなくても、その姿勢や動作を修正すると症状は改善します。なぜなら、根本的原因ではないだけで、関係していることに変わりはないからです。

このような理由からも、私は、四肢末端が一番の原因になるとは考えていません

もちろん、何らかの結果として、筋の変性、脂肪化などが生じ、末端部分に治療を行わなければならない状況は生じます。しかし、このような場合でも、局所の治療に加えて、その部位に変性を生じさせた原因も治療しないと、また変性を引き起こしてしまいます。

内臓、脊柱は原因となるか?

結局、身体はどこから崩れていくのでしょうか。すでに述べたように、四肢末端から崩れていくことは考えにくいです。直感的にも、膝が何の原因もなく過外旋したり、橈骨頭が前方に変位したりすることがありえないことは理解できるかと思います。

そして、骨関節の変位を引き起こすのは、主に筋、筋膜になります。なぜなら、これらは骨、骨膜に付着しており、さらに、姿勢や動作の偏りによるアンバランスや、姿勢制御の代償によるスパズムなどを生じるためです。この筋膜のアンバランスや筋のスパズムによって、多くの骨関節の変位は起こります。

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では筋膜のアンバランスや筋スパズムが起こる原因は何が考えられるでしょうか。

筋膜に関しては、普段の姿勢や動作の偏り、内臓機能の低下などが考えられます。姿勢や動作の偏りは先ほど述べたとおりです。

内臓に関しては、広義の意味での筋膜は、全身つながっており、内臓に関しても、その周囲を囲う膜として存在しています。よって、その内臓自体に問題が生じると、周囲の筋膜にアンバランスが生じる可能性があります。その逆も然りで、姿勢や動作などで筋膜のアンバランスが生じると、その中にある内臓の機能を低下させる場合もあります。

では、内臓自体に問題が生じるのはどのような場合でしょうか。それは、自律神経系に乱れが生じたときです。内臓は主に自律神経によって支配されているため、自律神経系に乱れが生じると、内臓自体の機能低下が生じます。

そして、自律神経系の乱れは、生活習慣や思考などその人の価値観によって生じます。

以上のことから、筋膜系のアンバランスが生じる原因は、姿勢や動作の偏り、生活習慣や価値観になると考えられます。

次に筋スパズムが生じる原因を考えます。筋スパズムの多くは、姿勢制御系がうまく働かなくなった代償として起こります。これは、姿勢制御系が正常に働かなくなったために、バランスが取れなくなり、そのバランスが崩れないように、そして崩れたものを修正するために生じた反応です。つまり、姿勢制御系が正常でない状態では、この筋スパズムは身体の防衛反応で、体にとって必要なものです。

では身体において、姿勢制御系を担っている構造と機能は何になるでしょうか。それは、進化の過程などさまざまなことを考慮すると、脊柱、胸郭、骨盤帯がその多くを担っていると考えることができます。

この脊柱、胸郭、骨盤帯に異常を生じさせる原因は、内臓、自律神経系になります。内臓は異常が生じると、内蔵体性反射によって、脊柱に関係する筋や関節、皮膚などに異常を生じさせます。自律神経系も異常が生じると、交感神経節がある胸腰椎に反射性の症状を引き起こします。

そして、内臓、自律神経系に異常を生じさせる原因は、先ほど述べたように姿勢や動作の偏り、生活習慣や価値観になります。

以上のことから、多くの機能障害の原因は姿勢や動作の偏り、生活習慣や価値観である考えています。

問題多くは「姿勢や動作の偏り、生活習慣や価値観→筋膜、脊柱、内臓→筋、筋膜→四肢末端の関節」という流れで生じます。結局、この流れのどこに介入を行っても変化は出ます。先ほども述べたように、ただ一番の原因はどこかということです。

そして、より原因に近ければ近いほど、治療効果は高く、持続時間も長い印象です。今回は私なりの一番の原因の考え方を述べましたが、いかがでしょうか。

このように考えていくと、多くの治療法があり、それぞれの治療法に効果が認められることも納得できます。