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肩関節周囲炎は五十肩ともいわれ、一般人にもよく知られた疾患です。理学療法士としてもよく遭遇し、その治療には難渋することが多いのではないでしょうか。肩関節周囲炎は、誘因なく肩の痛みが現れ、可動域制限を伴うのが特徴です。

そこで今回は、肩関節周囲炎について解説します。

肩関節周囲炎の概要

肩関節周囲炎とはその名の通り、肩関節の周囲の組織に炎症が生じた病態です。50歳くらいに好発するため、五十肩ともよばれます。肩の疼痛と可動域制限を主訴とする肩関節疾患を総称し、最近では腱板断裂や石灰化性腱炎も含まれます。

典型的な経過は、凍結進行期、凍結期、解凍期の3つの時期を経て、1年くらいの経過で治癒します。

凍結進行期の初期症状は疼痛で、動作時痛のため自動運動が制限されます。それに伴って安静時痛、夜間痛も出現し徐々に拘縮が進行します。凍結期になると疼痛は軽減してきますが、拘縮が完成し可動域の制限が強くなります。その後、解凍期になると拘縮が徐々にとれ、可動域は元に戻ります。

炎症はなぜ生じるのか?

理学療法士として考える必要があることは、「肩周囲の組織になぜ炎症が生じるのか」ということです。炎症が生じているということは、組織の損傷が起こりその修復が行われているということです。組織の損傷のほとんどは、機械的刺激と過用によって起こります。

機械的刺激の多くは、関節適合性の低下から起こります。関節適合性が低下すると、関節内運動の障害、筋スパズム、筋出力低下が起こります。これに伴って、インピンジメントを代表とする圧迫刺激、筋や関節包の伸張刺激、筋のインバランスによる特定筋の過用が生じ、組織損傷につながります。

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過用は、実際行う運動との相対的な筋力不足によって起こります。

例えば、10キロしか持ち上げる筋力がない状態で15キロの物を持ち上げると組織損傷が起こります。しかし、同じ筋力でも、8キロの物だと組織損傷は起こりません。

また、筋力低下は筋量と筋出力の問題を考える必要があります。正常では、筋量と筋出力は相関しています。しかし身体に何らかの問題があると、筋量は充分にあっても筋出力が低下してしまうという状態が起こります。この状態は関節適合性が低下していると起こります。

つまり、実際行う運動に対しての筋量は充分であるかを考え、筋量、筋出力のどちらが問題なのかを判断する必要があります

以上のことから、多くの組織損傷は関節適合性低下によって起こります。そして、関節包の拘縮や筋スパズムによる可動域の制限の原因も、もともとは関節適合性低下であることがほとんどです。その結果として可逆的な関節包の拘縮や組織の変性が起こります。

つまり、「関節適合性→関節包の拘縮や周囲組織の変性などの局所的な問題」という流れで治療を行っていく必要があります。関節の適合性が悪い状態で、関節包の拘縮を改善させようとストレッチをしても、症状は改善しません。

また炎症は、長引けば長引くだけ滑膜の増殖が増え、拘縮は強くなるため解凍に時間がかかります。そのため、実は肩関節周囲炎の治療において、凍結進行期の管理が一番重要です。その管理方法を一般の人々に啓蒙することが、拘縮肩を撲滅する一番効率的な方法ではないかと考えています。