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変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)は、整形外科病院を受診する人の多くが持っている疾患です。

変形性膝関節症という言葉は、一般的にも知られており、変形性膝関節症というと、「膝の痛みが生じる疾患」というイメージを持っている人がほとんどだと思います。また、症状がひどくなると人工膝関節の手術をする必要があることも、多くの人が知っています。

そして、変形性膝関節症の主な症状は痛みです。変形性膝関節症と診断された人には、歩行時や階段昇降時に痛みが出る人が多くいます。

また、そのような痛みの原因は、医者から「変形によるもの」だといわれることがほとんどです。実際に、膝のレントゲンを撮ってみると変形しており、医者の言葉に納得させられます。

しかし、膝に限らず、画像上の変形と痛みの程度は一致しません。変形性膝関節症で、変形が軽度の人でも強い痛みを訴える人もいますし、逆に変形が進行している人でも全く疼痛がない人もいます。

このように、変形性膝関節症の痛みは変形だけでは説明することができません。また、膝関節が変形する原因も適切に説明されることはありません。

そこで今回は、「変形性膝関節症による痛み・疼痛と変形の原因」について解説します。

 痛みが出る理由
変形性膝関節症の人が訴える症状で最も多いのが「膝関節の痛み」になります。多くの変形性膝関節症の人は、歩行時や階段昇降時、膝を曲げるときなどに、膝関節の周りに疼痛が出現します。

そして、医者からはそれに対して痛み止めの薬や物理療法を処方します。またそうした痛みは、「関節の変形が原因である」といわれます。

実際にレントゲンを見ると、確かに変形しており骨と骨がぶつかっているように見えます。医者からは、その衝突しているところに負担がかかって痛みが出ているといわれます。

ただ、変形している人みんなが膝に痛みを抱えているわけではありません。また、変形の程度によって痛みの強さが決まるわけではありません。例えば、変形が明らかな人であっても、疼痛が全くない人もいますし、逆にほとんど変形していなくても強い症状を訴える人がいます。

そのため、「関節の変形=痛い」という考え方は、改めたほうがよいです。

私の経験でも、関節の変形具合と、膝の痛みの程度は一致しないことが多いです。では次に、関節に痛みが出現する理由について考えます。

関節は、2つ以上の骨と骨が噛み合わさって作られています。そして関節には、骨から骨へ力を伝えたり、動作を滑らかにしたりする機能があります。例えば、片手で反対側の肩を掴む動作を行う際に、手首や肘、肩の関節が適切に動くことで円滑に動作を行うことができます。

こうした関節の機能は、関節の適合性(噛み合わせ)が良い状態であれば十分に発揮されます。

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一方で、関節の噛み合わせがズレていると、関節の機能は低下してしまいます。その結果、力を伝えたり、関節を滑らかに動かしたりすることができなくなります。

関節の適合性が最も低下した状態が「脱臼」です。関節が脱臼するということは、関節が破壊されてしまうということです。そのため関節は、そうした脱臼という最悪の事態を避けるように運動を調整します。

その結果、体は関節に対して関節が伝えきれるだけの力しか発揮しないようにしたり、噛み合わせがある程度維持されている可動範囲までしか関節を動かさないように調整したりします。

このときに、無理な力を加えたり、無理やり動かしたりすると、関節には脱臼させるような動きが加わります。そうしたことを避けるために、痛みを発してそれ以上無理に動かすことができないようにします。

つまり痛みとは、「関節が脱臼しないようにするために体から発せられる危険信号」だといえます。

このような理由から、関節に痛みがある場合には、無理に筋トレをしたり、ストレッチをしたりしないようにする必要があります。

 変形とは適応である
関節に痛みが生じる理由は、関節が脱臼しないように、脱臼前に知らせて運動を止めさせるためだといえます。

ただそうした場合でも、痛みを我慢して運動を続ける人もいます。そもそも、ほとんどの病院では痛みを伴う運動でも行うように指示されます。

そのように痛みを無視して運動を続けた結果起こるのが、関節の変形です。

関節が痛みを発するのは、関節の適合性が悪くなっている(最悪の状態は脱臼)を知らせるためです。そして、痛みの信号を無視して運動を継続した結果、関節は変形することで関節の噛み合わせを合わせようとします。

具体的には、噛み合わせがズレている部分に新しい骨を作るような反応が起こります。そうすることで、関節の適合性を高めることになります。

そして、こうして関節の変形によって噛み合わせが合った結果、関節は脱臼する心配がなくなるため、痛みを発する必要がなくなります。関節の変形が強くても痛みがない人がいるのは、このような変形のメカニズムがあるためです。

つまり、関節の変形は、関節の適合性を高めるための防衛反応だといえます。

このように考えると、関節が変形することは、体にとって必ずしも悪いことではないということが理解できます。

今回述べたように、変形性膝関節症で疼痛が出現するのは、「これ以上無理な運動を行うと関節が脱臼するため、それを避けるために危険信号を出している」という理由があります。また変形は、関節の適合性を合わせるための防衛反応だといえます。

こうした変形性膝関節症の痛みと変形のメカニズムを理解しておくことで、変形性膝関節症に対する認識が変わるはずです。