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膝崩れは、理学療法の現場でよく問題になる症状です。膝崩れを起こす多くの人は、膝関節の不安定感を訴え、実際に膝が脱力することによって膝が崩れます。膝崩れには原因があります。そして、それは膝だけの問題ではありません。

そこで今回は、膝崩れの原因について解説します。

膝崩れの原因

膝崩れは、十字靱帯損傷や半月板損傷、脳梗塞後の後遺症などで起こります。どちらにしても、膝崩れの多くは、大腿四頭筋の反応もしくは筋力不足で、荷重位での膝屈曲を保つ事ことができずに生じます

十字靭帯には多くの感覚器が存在します。そのため、この靱帯が損傷するとその関節の関節覚は著しく低下します。また、靭帯は関節の安定性を確保する役割があります。

つまり、十字靭帯が損傷されると、静的な関節の安定性が低下する上に、関節位置覚が低下してしまうため動的な安定性も低下してしまいます。これは、膝関節の状態を知覚出来ていないために適切な筋収縮が起こらないということを意味します。

また、半月板は関節の適合性を維持する役割があります。そのため半月板が損傷すると、靱帯損傷と同様に関節の安定性が低下します。

半月板は関節の動きに伴いその位置を変えることにより、関節の適合性を維持します。つまり、静的な安定性だけでなく、動的な安定性にも関係します。そして、この十字靱帯と半月板は相互に関係しているため、どちらかが損傷すると、もう一方にも影響します。

脳梗塞後の後遺症などで起こる膝崩れは、大腿四頭筋の麻痺によって起こります。そのため、腰椎椎間板ヘルニアなどでも同様に起こります。

中には、このような明確な原因がない状態の大腿四頭筋の筋力低下を原因に膝崩れを説明する人もいますが、このようなことはほとんどありません。加齢などで起こるレベルの筋力低下で膝崩れが起こっていたら、大半の人が膝崩れを起こすことになります。

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つまり、大腿四頭筋の筋力低下が原因で膝崩れが起こっている場合、他にヘルニアなどの要因があってそのような状態になっていることがほとんどいうことです。

下腿三頭筋の麻痺による膝崩れ

見逃されがちですが、実は膝崩れの原因として多いのが下腿三頭筋の麻痺です。これもその大元には、脳梗塞後の後遺症や腰椎椎間板ヘルニアがあることがほとんどです。

立脚の中期から後期にかけては下腿が前傾するため、その前傾スピードをコントロールするために下腿三頭筋が遠心性収縮をします。この前傾をコントロールできないために、素早い下腿の前傾が起こり、結果として膝崩れが起こります。

膝崩れは、大腿四頭筋を原因とする人が多いですが、実はこの下腿三頭筋が原因である場合も多いのです。

どちらにしても、膝崩れが起こっている場合は、膝関節の過伸展とラテラルスラストで代償している人が多いです。そのため、荷重時にこのような現象が見られる人は、膝崩れが隠れている可能性があることを疑う必要があります。

その他の原因

その他にも、神経病性関節症(シャルコー関節)や関節水腫、膝蓋骨不安定症でも起こります。

神経病性関節症では、下肢の神経麻痺によって、関節水腫は、水腫に伴う大腿四頭筋の筋出力抑制が原因で膝崩れが起こります。また、膝蓋骨不安定症では、その名の通り膝蓋骨の安定性が低下するために不安定感が生じます。

以上のように、膝崩れはさまざまな原因で起こります。単純に「膝崩れ=大腿四頭筋の問題」と考える人が多いですが、そんなに簡単なことではありません。ましてや、大腿四頭筋が原因であれば、その背景にもっと深い問題があるはずです。

このように膝崩れ一つにしても、考えられる要因は無数にあります。これらの中から、問診、検査、治療によって仮説、検証を行い、その原因を特定することが大切です。