スポンサーリンク

「膝を曲げると痛い」と訴える方は多いです。この曲げると痛いという訴えでも。「曲げる途中が痛いのか」「最後まで曲げると痛いのか」などさまざまなことを考える必要があります。

今回は、「膝を曲げると痛い」という訴えについて考えていきます。

膝を曲げると痛いという訴えがあっても、痛みが出現する角度はさまざまです。今回は「曲げ始め」「曲げる途中」「深く曲げたとき」の3つについて解説します。

曲げ始めに痛い

この訴えの場合は、2つのことが考えられます。

1つ目は、炎症がある場合です。関節は炎症があると、関節内圧のわずかな変化が刺激になり、疼痛を誘発します。そして、自動運動では筋収縮を伴うため、関節内圧の変化が生じます。この筋収縮による関節内圧の変化で疼痛が生じるのです。

これは、どこの関節でもいえることで、経験的には肩関節などの疼痛に多く関与している印象です。

2つ目は、半月板前節に問題がある場合。半月板は膝関節の肢位により、ストレスが加わる部位が変わります。伸展位では前節、屈曲位では後節になります。

これは、骨模型を過伸展、過屈曲させたときの接触面を確認するとわかりやすいです。鑑別のテストでは、さらに回旋動作を加えて、内側の半月板、外側の半月板にストレスを与えます。

半月板は関節の接触面の維持、つまり関節適合性を維持する役割を担っています。そして、この役割は伸展位では前節が、屈曲位では後節が重要になります。よって、何かしら半月板の構造、機能に問題があると、その肢位での関節適合性が低くなるため、疼痛につながります。

曲げる途中で痛い

この訴えに関しても、上記と同じ考えです。屈曲の途中では半月板中節が、関節適合性を維持しています。よって、半月板中節に何かしらの問題があるとこのような訴えが起こります。

深く曲げると痛い

この訴えの場合は、4つの原因が考えられます。

1つ目は、腫脹によるものです。これには関節の内圧も関係しています。関節内に腫脹があると、関節内圧が上昇します。また、深く曲げるという動作も関節内圧を上げる行為になります。よって腫脹により、関節内圧が上昇した状態に、さらに深く曲げるという行為を加えることにより疼痛が出現します。

スポンサーリンク

また、腫脹が認められるということは関節包に伸張ストレスが加わります。深屈曲時、関節液は膝窩部に移動します。つまり、腫脹がある状態で、深く曲げると膝窩部の関節包が伸張され、疼痛が出現するということになります。

2つ目は、膝蓋大腿関節の圧縮ストレスによるものです。

膝蓋大腿関節は大腿四頭筋に前方をおおわれています。大腿四頭筋は屈曲していくと伸張されるため、その張力は膝蓋骨を大腿骨に圧迫する力が強くなります。この圧迫ストレスにより疼痛が生じます。臨床では大腿四頭筋の中でも、大腿直筋、外側広筋が深く関与している印象です。

それは、大腿直筋は骨盤に起始をもち、外側広筋も大腿筋膜張筋を介して骨盤と関連しているためです。長い筋は機能障害を起こしやすいです。それらの筋は長く、姿勢制御系に問題があるときに、その制御に関わることが多いためです。

また、外側広筋は膝関節の外側安定性の役割があることも関係しています。特に日本人は、内反型の変形が多いです。つまり、膝関節の安定性を外側の構造体に依存することが多いということです。

3つ目は、構造体の短縮が生じている場合です。

これは単純です。屈曲すると伸張する構造体の伸張性が低下している場合、それを過伸張すると痛みが出現するというものです。屈曲により伸張される構造体としては、大腿四頭筋、膝蓋大腿靭帯、前方関節包などが考えられます。これらの構造体に短縮が生じている場合。深屈曲時に痛みの原因となります。

最後は、関節適合性の問題です。

関節が最も嫌がるのは「関節適合性が失われること」です。そして、適合性が失われそうになると、防衛反応として痛みを発します。つまり、痛みが出ている角度以上に曲げてしまうと、関節適合性がなくなり、関節が壊れてしまうということになります。

動作時、関節の適合性を調整しているのはハムストリングスです。なので、ハムストリングスに過緊張やスパズムが生じると、関節適合性に問題が生じます。そして、ハムストリングのスパズムは脊柱の問題から生じている場合がほとんどです。

以上のように、曲げるとき痛いという訴えにもさまざまな原因が考えられます。問診を丁寧にとり、実際どの角度で痛みが出るのかを聴取することが、原因追求の鍵となります。