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橈骨遠位端骨折は理学療法士がよく遭遇する疾患だと思います。その中で、特に問題なく良くなる人、時間が経ってもよくならない人と、その経過は人それぞれです。

そして、よくならない人で問題になるのが可動域制限です。手関節の可動域制限は日常生活動作に大きく影響し、日常生活に支障をきたします。

今回はその中でも多い、前腕回外制限について解説します。

前腕回旋の機能解剖

前腕の回旋運動として回内、回外運動があります。回内、回外運動は、近位遠位の橈尺関節、腕橈関節、腕尺関節の4関節が複合して動きを作り出します。それぞれの関節の可動範囲は橈尺骨間で130~140°、腕尺間で約6°、手根骨より末梢で約25°動きます。

運動時の回旋軸は、基本は橈骨頭の中心と尺骨茎状突起を結んだ線になります。しかし、この軸は一定しておらず、常に移動しています

例えば、回内運動時は、橈骨頭の近位中心軸はやや外側へ、尺骨茎状突起の遠位中心軸は外転方向に移動します。回外運動時はこの逆になります。これは、橈骨頭が卵円形状になっていることが大きく影響しています。

このような軸の移動が起こる中でも、骨間膜とWeitbrecht靭帯は近位と遠位の軸の間にあることで常に緊張を一定に保っています。

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回外制限の因子

回外運動は先程述べた、骨と軟部組織によって達成される複合運動になります。そのため、制限因子は骨性要素と軟部組織性要素に分けることができます。

骨性の要素には、外傷後の変形や先天的な変形の原因によるものがあり、機能の改善には、観血的な対処により構造の改善を図る必要があります。一方、軟部組織性の要素には、筋、三角線維軟骨複合体、骨間膜、輪状靱帯、皮膚などがあり、基本的には保存療法が第一選択となります。

具体的な筋としては、円回内筋や方形回内筋の他に、橈側手根屈筋、長掌筋など、前腕近位内側から遠位外側へ走行する全ての筋が挙げられます。靭帯では、輪状靱帯や三角靱帯が主な制限因子になります。

また、骨間膜は制限因子になりそうですが、比較的均一な緊張を保つ組織であるため、回外の制限には大きく関わりません。しかし、骨間膜には筋が付着しており、その筋の損傷に伴い線維化が起こっている場合は制限因子になります。

そして皮膚に関しては、手術を行った後などのケロイドがその制限になることがあります。一般的に、ケロイドによる制限は理学療法での改善は見込めません

以上のように、前腕の可動域制限も基本は解剖学と運動学の知識に基づいて治療を行うことが大切です。前腕は関わりが少ないため、知識も浅くなりがちですが、他の部位と同じように勉強する必要があります。