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理学療法の臨床において、整形外科テストはよく使われます。しかし、この整形外科テストに関して、結果に対する解釈の方法を習うことは少ないです。

例えば、肩痛を訴える患者さんで「ホーキンス検査で陰性」の患者さんがいるとします。あなたは、この結果の解釈をどのようにしますか。肩峰下のインピンジメントが起こっている可能性は低い、と解釈する人がほとんどではないでしょうか。

今回は、整形外科テストの結果の解釈について解説します。

感度

診断学的検査において、感度という言葉があります。感度とは「実際に異常がある患者を検知する能力」を示し、真陽性率ともいわれます。

つまり、感度が高い検査で陰性が出た場合、その検査で示唆される問題を抱えていない可能性が高いということです。つまり除外診断に使えます。

例として、棘上筋腱断裂に対する整形外科検査を考えます。「エンプティカンテスト」の感度は0.89とします。疼痛、筋力低下のいずれか、または両方が認められた場合、陽性です。一方、「挙上検査での筋力低下」の感度は0.64とします。

このケースで、棘上筋腱断裂の除外診断を行いたいとします。その場合、感度が高い「エンプティカンテスト」で陰性が出た方が、より棘上筋腱断裂の可能性を除外できるということを示します。

特異度

特異度とは「実際には異常がない患者を感知する能力」を示し、真陰性率ともいわれます。

これは、感度とは違い、特異度が高い検査で陽性が出た場合、その検査で示唆される問題を抱えている可能性が高いということです。つまり、確定診断に使えます。

例として、肩峰下インピンジメントに対する整形外科検査を考えます。「水平内転検査」の特異度は0.28とします。一方、「ヤーガソンテスト」の特異度は0.86とします。

このケースで、肩峰下インピンジメントの確定診断を行ないたいとします。その場合、特異度が高い「ヤーガソンテスト」で陽性が出た方が、より肩峰下インピンジメントの可能性が高いということです。

以上のように、感度、特異度を知らないと、その整形外科テストの結果の解釈ができません。

全てのテストの感度、特異度を覚える必要はありません。しかし、普段使っているテストに関しては、「感度が高いテストなのか」「特異度が高いテストなのか」を分けて覚えておくことは大切だと思います。

頚椎の整形外科検査における感度・特異度

感度が高い検査 特異度が高い検査
・椎間関節性疼痛
徒手検査(後方から前方への圧迫)・頚部神経根障害
上肢伸張検査B

*上肢伸張検査A
1.肩甲骨下制
2.肩関節外転
3.前腕回外、手関節、手指伸展
4.肩関節外旋
5.肘関節伸展
6.反対側・同側への頚部側屈

上肢伸張検査B
1.肩甲骨下制
2.肩関節内旋
3.肘関節完全伸展
4.手関節と手指屈曲
5.反対側・同側への頚部側屈

・椎間関節性疼痛
徒手圧迫検査・頚部神経根障害
スパーリング検査
圧縮・牽引検査
肩関節外転検査
反射検査

・頚部不安定性
シャープ・パーサー検査

・頚髄圧迫
腕神経叢の圧縮

肩関節の整形外科検査における感度・特異度

感度が高い検査 特異度が高い検査
・関節唇断裂
クランク検査
オブライアンテスト(立位)
上腕二頭筋負荷検査・肩峰下インピンジメント
ホーキンス検査
ニアー検査
水平内転検査
ヤーコム検査

・棘上筋断裂
フルカン、エンプティカン検査での疼痛、筋力低下のいず
れかもし くは両方
有痛弧検査

・棘下筋・小円筋腱断裂
ホーンブロー徴候
腕落下徴候

・肩甲下筋腱断裂
内旋ラグ徴候

・上腕二頭筋腱断裂
スピード検査

・腱板断裂
ニアー検査
ホーキンス検査

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・肩鎖関節損傷
オブライアン検査
パキノシス検査
肩鎖関節の触診

・関節唇断裂
前方滑り検査
クランク検査
オブライアンテスト(立位)
ジョーブ整復検査
前方脱臼不安感検査
スピードテスト
ヤーガソンテスト
上腕二頭筋負荷検査・肩峰下インピンジメント
有痛弧検査
腕落下検査
ヤーガソン検査

・腱板断裂
70°以下の他動的外旋

・棘下筋・小円筋腱断裂
ホーンブロー徴候
腕落下徴候

・肩甲下筋腱断裂
内旋ラグ徴候

・肩鎖関節損傷
オブライアン検査
肩鎖関節抵抗伸展検査

腰椎の整形外科的検査における感度・特異度

感度が高い検査 特異度が高い検査
・脊柱管狭窄症(問診)
歩行時増悪、座位で軽減
65歳以上
殿部より下の痛み・腰椎神経根障害
筋力低下
痺れ
下肢伸展挙上

・椎間板ヘルニア
SLRテスト

・強直性脊椎炎
臥位でも緩和しない疼痛
夜間の腰背部痛
エクササイズで緩和する疼痛とこわばり
発症年齢が40歳以下
胸郭拡張差2.5㎝以下

・脊柱管狭窄症(問診)
座位時に痛みなし
座位で症状改善・腰髄狭窄症
ロンベルグ試験
振動感覚消失
痛覚消失
筋力低下
アキレス腱反射低下

・腰椎不安定性
37歳以下
腰椎屈曲53°以上
腰椎伸展26°以上
椎間検査の可動性増大

・腰椎神経根障害
アキレス腱反射低下
腱反射、筋力、感覚検査で全て異常
対側下肢伸展挙上
長母指伸筋の筋力低下
下腿後面の萎縮
感覚低下

・椎間板ヘルニア
交叉性下肢伸展挙上

・強直性脊椎炎
胸郭拡張差2.5㎝以下
ショーバー検査4㎝以下
腰椎前弯の減少

仙腸関節の整形外科的検査における感度・特異度

感度が高い検査 特異度が高い検査
・仙腸関節痛
パトリック検査
後方剪断検査(大腿スラスト)
ゲンスレン検査・仙腸関節機能不全
離解、大腿スラスト、ゲンスレン検査、仙骨スラスト検査、圧縮検査のうち3つ陽性
・仙腸関節痛
仙骨溝の圧痛と鼡径部痛
PSISの主な疼痛と鼡径部痛
後方剪断検査(大腿スラスト)
外側骨盤圧縮検査
ゲンスレン検査・仙腸関節機能不全
離解、大腿スラスト、ゲンスレン検査、仙骨スラスト検査、圧縮検査のうち3つ陽性

股関節の整形外科的検査における感度・特異度

感度が高い検査 特異度が高い検査
・変形性股関節症
長期にわたる歩行時痛
下肢機能低下
股関節における60分以下の朝のこわばり
屈曲角度≦115°
股関節痛、屈曲内旋角度<15°、股関節屈曲角度≧115°
内旋時の股関節痛、50歳以上、朝のこわばり内旋角度≧60分
屈曲、外転、内外旋の制限・関節唇断裂
内旋-屈曲-軸圧縮の手技
・変形性股関節症
家族歴
内旋角度<15°
股関節痛、屈曲内旋角度<15°、股関節屈曲角度≧115°
内旋時の股関節痛、50歳以上、朝のこわばり、内旋角度≧60分
運動制限を受けた運動面が2つ以上・関節唇断裂
クリック音の訴え

・大腿骨頭壊死
他動伸展可動域<15°
他動外転可動域<45°
他動外旋可動域<60°
内旋時の疼痛

膝関節の整形外科的検査における感度・特異度

感度が高い検査  特異度が高い検査
・前十字靭帯断裂
ラックマン検査
ピボットシフト検査・後十字靭帯断裂
後方引き出し検査
後前額面徴候

・内側側副靭帯断裂
外反ストレス検査

・半月板断裂
マックマレー検査(疼痛誘発)

・前十字靱帯断裂
ラックマン検査
前方引き出し検査
ピボットシフト検査・後十字靭帯断裂
後方引き出し検査
逆ラックマン検査
後前額面徴候

・半月板断裂
マックマレー検査(疼痛、内側の弾発)

以上に挙げた感度・特異度の高さを目安にすることで、整形外科的テストに対して、より正確な解釈ができるようになります。