スポンサーリンク

歩いていると足が痺れる、もしくは痛くなると訴える方は多いです。このような症状の場合、まずは「脊柱管狭窄症」というものが疑われます。しかし、実はもっと先に疑わなければならない原因があります。それが「心血管系の問題」です。

今回は、歩行時の下肢の症状について解説します。

「脊柱管狭窄症」の症状

「脊柱管狭窄症」はその名のとおり、脊柱管が何らかの原因により狭くなってしまう病態です。そして、脊柱管には脊髄を中心とした神経系、血管系が入っています。狭くなってしまうことにより、神経系、血管系を圧迫してしまい症状に繋がります。

脊柱管は腰椎を伸展した時により狭くなるとされています。つまり、伸展ストレスが加わると狭窄を強めるということです。しかし、臨床的に腰椎の伸展ストレスで症状の再現ができることは少ないです。これは狭窄症の多くの症状が、一回のメカニカルストレスにより生じるようなものではないからです。

そのため、現場で症状の再現が難しいことが少なくありません。

そして、歩行などの持続的な伸展ストレスにより症状が出現します。

特徴的な症状として「間欠性跛行」が挙げられます。これは、歩くと症状が出現するが、休憩すると症状が消失し、また歩けるようになるというものです。例えば、100m程歩くと症状が出るとします。そして、一旦休憩すると症状が軽減し、また100m歩けるという状態を繰り返します。そのため、100m歩いて症状が出る。休憩しても症状が軽減せず、次は20mしか歩けないというのは、間欠性跛行ではありません。

間欠性跛行の原因は狭窄症だけではない

実は多くの人が忘れていることなのですが、間欠性跛行の原因には、「心血管系」があります。例として「閉塞性動脈硬化症」「閉塞性血栓性血管炎」などが挙げられます。まず「歩くと足が痺れる、痛い」という場合は、心血管系の疑いを除去する必要があります。

スポンサーリンク

なぜならば、もし症状の原因が心血管系だった場合、薬にて症状が改善する場合もあり、必要に応じては手術が適応になります。そもそも、この場合は理学療法士が介入しても症状の改善は難しいです。

脊柱管狭窄症と心血管系の間欠性跛行の違いは、腰椎の動きが関与しているかどうかになります。

脊柱管狭窄症の症状は、腰椎の持続的な伸展ストレスが加わることにより生じることは述べました。つまり、歩いていても腰椎の伸展運動を抑制すると症状は出現しないのです。

一方、心血管系の問題による間欠性跛行は、下肢の運動に伴う酸素需要量の増加により生じます。運動を行うためにはエネルギーが必要です。そのエネルギーは血液によりその部位へ運ばれ、代謝されます。しかし、閉塞性動脈硬化症などにより、血液の流れが妨げられると、必要な部位に血液が届きません。すると、その部位は虚血となり虚血性の疼痛が出現します。

これが、心血管系の問題による間欠性跛行のメカニズムです。つまり、腰椎の動きとは関係なく、下肢の運動量に依存されるということです。

この違いを用いて鑑別します。

以下にそれぞれの特徴を載せます。

脊柱管狭窄症 心血管系
60歳以上、カートや自転車を押しながらの歩行は楽
自転車での移動は問題ない
腰痛もある
尿や便の出方に変化がある
喫煙歴
比較的若くても起こる
自転車を押して歩いても変わらない
自転車に乗っても同じような症状がでる

また、病院ではエアロバイクなど、腰椎の伸展ストレスを加えずに下肢の酸素需要量を増やすような運動を行います。この時、症状が出現するようなら「心血管系」の問題を疑い、症状が出ないようなら「脊柱管狭窄症」によるものを疑います。

ちなみに、「脊柱管狭窄症」において、「頻尿」「尿閉」など尿や便の変化が認められる場合は、症状が進行している場合がほとんどです。このような場合も、すぐに医者に報告する必要があります。