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寒冷療法を行う根拠として、寒冷療法後に血管が拡張する「CIVD(cold-induced vasodilation)」を挙げる人は多いです。この用語は、1930年にLewisにより、作られました。しかし、この反応にはさまざまな見解があります。その中でも、理学療法士が目的とする寒冷療法の効果にはほとんど関係ないとされています。

今回は、このCIVDについて解説します。

寒冷療法の目的

理学療法士が寒冷療法を行う目的は「疼痛の軽減」や「腫脹の軽減」などが挙げられます。その生理学的な根拠に関しては、血液循環理論と代謝理論の2つがあります。

血液循環理論

「組織温度の低下」と「血管の収縮による組織透過性の低下」により、出血が少なくなり、腫脹が予防されるとする理論です。しかし、この理論は「損傷後に出血が起こるまでの時間」が5分以内であるのに「寒冷刺激により血管反応が起こるまでの時間」が15分以上かかることから、批判的な見解が多いです

寒冷療法による効果の生理学的な根拠は「二次的低酸素症」「組織の遊離タンパクの増加」「組織浸透圧の上昇」を予防することで、浮腫の抑制を行うということです。その結果、腫脹の予防には部分的に関わるということです。つまり、血液循環理論ではなく、代謝理論によるものが主ということです。

CIVDとは

CIVDとは、寒冷刺激の結果として血管が拡張することを意味します。

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この理論は、Lewisが行った実験において、冷却直後の手指温度の急激な低下と、8~16分後の温度上昇が生じ、その後、2~6℃振幅するリズミカルでない低下と上昇のパターン(乱調反応)がみられたことから始まりました。この温度の振幅の原因がCIVDによるものだとし、この反応は血液循環系の現象であると仮定されました。

さらに、冷やされた手指を氷水から取り出すと、温度が突然上昇することを観察し(遅発性効果)、これを血管拡張によるものとしました。

上記の2つがCIVDの根拠となる実験結果です。

そして、この2つの実験を、臨床家が「CIVDは血流増大を引き起こす」「CIVDは温熱と同様の正味の血流増大である」と誤った解釈をしてしまいました。この解釈は、実験を行ったLewis自身のデータも支持していません。

乱調反応は、一般的な現象として受け入れられていますが、人工的な測定現象に過ぎません。この反応は人工的な測定上の産物であり、冷却期間の血流増大の根拠にはなりません。また、遅発性効果は、手指の温度の上昇を指しており、血流増大のことを示しているわけではありません。両者は関係しますが、30%の温度上昇が起こると、30%の血流増大が起こるということはありません。

さらに、この実験のコントロール群の手指の温度は19℃とされています。通常は30~34℃ある、手指が19℃からただ通常の温度に戻っただけと解釈できます。

以上のような理由からも、CIVDによる血流増大は見込めないことが予測されます。

そもそも、上記したように、寒冷療法の効果の生理学的な根拠は「二次的低酸素症」「組織の遊離タンパクの増加」「組織浸透圧の上昇」であり、血流の反応に対しての効果ではありません。

よって、CIVDは理学療法士が行う、寒冷療法の効果とは関係ないことが示唆されます。