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理学療法を行う上で、はじめにその患者さんの症状が理学療法的適応か否かを鑑別することは重要です。もしかしたら、その肩の痛みは心疾患から生じているかもしれませんし、その腰痛は、転移性の癌から生じているものかもしれません。

このように内科疾患と整形疾患の鑑別は必須です。また、その症状が構造的な問題から生じているのか、機能的な問題から生じているのかを鑑別する事も大切です。

骨折自体から生じる疼痛は、理学療法によって改善することはできません。構造的な問題がある場合、その組織が修復するための適切な期間は安静が必要なことは、言うまでもありません。

そのような鑑別をせずに無理に動かしたりすると、逆に組織の治癒を妨げてします可能性があります。

そこで今回は、構造的問題と機能的問題を鑑別するために大切なことについて述べます。

問診の重要性

まず鑑別において重要なことは問診です。これは内科疾患などの構造的な問題の鑑別に関わらず、治療を行う上でとても重要です。私は、問診でその人の状態の8割は把握できる思っています。

多くの人は問診を疎かにしています。もちろん、患者さんの状態を詳しく聞くためには、相手に対する配慮が必要なため技術がいります。いきなり知らない人に、私生活を聞かれて良い気がする人はいないはずです。そのため、まずはラポール関係を作ることが大切です。このことを前提に話を進めます。

問診において、まず聞くべきことは安静時痛や夜間時痛の有無です。この2つの訴えがある場合は、炎症かもしくは内科疾患などの構造的な問題がある可能性が高いです。

構造的な問題がなくても、炎症による化学物質による痛みは理学療法によって改善する事はできません。もちろん、炎症の過程をスムーズにすることはできますが、炎症自体への介入はできないと考えています。

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また、受傷機転や痛くなった原因を聞くことも重要です。明らかな外傷や原因がないのに、急に激痛が発生した場合は、何かしらの内科的な構造的問題を疑う必要があります。逆に外傷があった場合は、整形的な構造的問題を疑います。

さらに悪化因子や軽減因子の聴取も重要です。症状を変化させる要因がないということは、運動機能の問題ではなく、構造的問題もしくは炎症による疼痛の可能性が高いです。

このように、問診は、構造的問題と機能的問題の鑑別に重要になります。さらに、外傷の有無や事前のレントゲン、血液検査の結果はこれらの鑑別の精度を高くするのに役立ちます。

仮説検証の重要性

問診である程度の予測は立ちますが、その段階ではまだ予測にすぎません。そのような場合に、有効なのが治療的評価になります。これは、予測から実際に治療を行い、その反応を見るものです。治療によって、予測される様な症状の改善が認められれば、立てた仮説の妥当性は上がります。

もし患者さんが訴える症状の原因が、機能的な問題かつ反射的な問題であれば、治療によってその症状は即時的に大きく改善します。そのため、その違いを見抜く力も必要です。

いくら理学療法適応でも、関節拘縮のように構造的な要因が強いものは即時的に良くなることは期待できません。しかし、姿勢制御の問題などで生じる、筋スパズムなどによって引き起こされている症状は、その問題を改善することによって即時的に改善します。

このように、予測した仮説と治療を行った結果が合うことによって、その仮説の妥当性は上がります。

以上のことから、構造的問題と機能的問題の鑑別にとって大切なことは、問診と仮説検証作業になります。もちろん、この2つは鑑別だけでなく治療全般において大切な事はいうまでもありません。

しかし、この基本的な2つを疎かにしている人は本当に多いです。あなたももう一度、問診と仮説検証に関して、自身で行っていることを見直してみて下さい。