スポンサーリンク

頚部痛は理学療法の臨床において、よく見る症状です。疾患名では「頚椎椎間板ヘルニア」「変形性頚椎症」などが一般的ではないでしょうか。理学療法が処方された頚部痛の多くは、関節機能障害など理学療法士が適応できるものです。しかし、まれに理学療法士が対応できないような、器質的問題が潜んでいることがあります。

そこで今回は、頚部痛を引き起こす疾患について解説します。

頚部痛を引き起こす疾患はさまざま

変形性頚椎症などで、頚部痛が出現しやすいのは想像に難しくないと思います。しかし、運動機能の問題以外でも、多くの疾患により、頚部痛が誘発される可能性があります。頚部痛の中でも、全身性に起因する痛みは、化膿性脊椎炎のような感染性疾患、癌、心臓、呼吸器、腹部障害に起因する関連痛によって生じます。

頸椎の癌は原発性であることは稀で、ほとんどが転移性です。例としては「白血病」「ホジキン病」「骨腫瘍」「頚髄腫瘍」が挙げられます。神経徴候の有無に関わらず、原因不明の局所的な頚部痛が持続する場合は、スクリーニングが必要です。特に、安静や体位変換により軽減しない強い持続痛(特に夜間痛)は危険信号です

頚部痛とともに「尿失禁」や「下肢痛」「歩行障害」などが認められる場合、脊髄圧迫が考えられます。

前方の頚部痛は消化管の関与の可能性があります。嚥下障害がある場合は、脊椎の亜脱臼や骨棘の突出、食道や咽頭への椎間板の突出、腫瘍などが存在する可能性があります。

癌に関しては、米国癌協会により、「癌の存在を示唆し、医学的評価を必要とする7つの警戒徴候」が公表されています。

・排尿、排便習慣の変化
・6週間で治癒しない痛み
・異常な出血や分泌物
・乳房等におけるしこりやこぶ
・消化不良や嚥下困難
・いぼやあざの明らかな変化
・持続性の咳や嗄声

*理学療法士に対して
近位筋の筋力低下
 深部腱反射の変化

特に理学療法士は「近位筋の筋力低下」「深部腱反射の変化」に注意する必要があります。

スポンサーリンク

心臓病変

狭心症は胸部痛だけではなく、「前頚部」「顎」「左肩」「背部」に放散する痛みを引き起こします。臨床では、肩関節疾患として理学療法が処方されることがあります。

臨床的な特徴は、頚部や肩の動きによる症状の変化が認められないことです。一方、運動など心臓に負担をかけることを行うと、症状が誘発されます。

呼吸器病変

肺の「パンコースト腫瘍」により、腕神経叢や神経根が障害され、頚部から上肢にかけて痛みが出現します。その他の特徴は、「手指筋郡の委縮」「ホルネル徴候」などが挙げられます。また、気管‐気管支病変でも頚部痛が出現します。このときは、刺激部位と同じ高さの頚部や胸部に関連痛が出現します。

全体的な呼吸器病変の特徴は、「呼吸運動による症状の悪化」「頚部痛による呼吸困難」「持続性の咳」などが挙げられ、これらの症状がみられた場合には、詳細なスクリーニングを行う必要があります。

消化管病変

消化管の中でも、頚部痛を引き起こすのは食道です。食道痛は前頚部にみられ、「灼熱感」や「嚥下障害」「嚥下痛」などが伴うことが多いです。嘔吐を繰り返すような、摂食障害のあるクライアントは、摂食行動と症状との関連性を自覚してないことが多く、注意が必要です。

特に、理学療法評価では「喉頭痛」に注意する必要があります。食道病変の場合「制酸剤」「直立位」「水分、摂食回避」により軽減し、「摂食」「前屈位、臥位」により悪化するという特徴があります。また、その他消化管疾患に伴う徴候と症状を知っていることも大切です。

また、特定タイプの薬剤(抗うつ薬、降圧剤、喘息の薬など)が、嚥下障害を誘発することもあります。

以上のように、頚部痛はさまざまな疾患により引き起こされる可能性があります。各部位、疾患に関しては他カテゴリーで詳細は書きます。まずはこのような疾患が、頚部痛を引き起こす可能性があることを知っておくことが大切です。