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経絡は東洋医学の概念の中でも、理学療法の臨床に取り入れやすい概念です。それは、経絡が、理学療法士がよく遭遇する可動域制限や筋の問題の原因を説明できる一つのツールだからです。

あなたは可動域制限や筋の痛みの改善に難渋した症例を経験したことはありませんでしょうか。もしかしたら、その症例の可動域制限や痛みの原因は、経絡の問題に由来したものかもしれません。

そこで今回は、経絡と筋の関係性について解説します。

経筋とは

経筋とは経脈の中の一つであり、「霊枢」に「経脈のように手足の三陰三陽にわかれ体表と筋を運行する、経絡系統の体表における機能であり、その運行の経絡は体表肢節にあり、内臓には達しない」と記載されています。

つまり、経筋とは西洋医学でいうと「皮膚、皮下組織、筋膜、筋、腱、関節包、滑液包、腱鞘、靱帯、神経、血管」など身体の表層にある組織の総称であるということが言えます。そして、経筋の主な作用は「運動作用」とされています。そのため経筋は、上記の組織の中でも、経絡主線上に沿う一連の筋骨格筋群の総称であるということが言えます。

基本的に、十二経筋と十二経脈は走行、分布が一致しています。陰陽の分布、手足の対応も同様であり、このことからも、それぞれ対応する経脈によって経筋に気血の循環が行われていると考えられます。

また、経筋の概念ができたのは、生命活動に最も必要なものは内部臓器の活動ですが、現象的に理解しやすいのが運動であるためと考えられます。

経絡そのものを経筋という筋活動と関連させることで、その理解を容易にしたということです。つまり、経筋という概念を使うことによって、表面の状態から深部の内臓の状態を把握できるようにしたということです。

経筋の特徴

経筋の走行は、経脈のように十二経筋に分かれますが、経筋の場合はすべて四肢の末端から起こり、四肢を通過し、体幹を経由した後、頭部に終わります。これは、起点と終点が中枢、末梢に分かれている経脈との大きな違いの一つでもあります。

終点に関しては、手足の三陽経筋は顔面、頭部に、足の三陰経筋は陰器に結合しています。また、手の三陰経筋は胸腹部に結合していますが、臓器との関係はありません。

つまり、経脈は全身を循環している一方、経筋は頭部か胸部に終着しているということです。また、経筋は関節とも深く関係しており、この点も経脈との違いに挙げられます。

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関節と関係があるという特徴からも、「経筋の各起始部は独立しており、間中はお互いに連絡することなく独立している」とされていますが、経筋同士にもさまざまな相互関係があります。

さらに経筋の問題によって生じる症状は、その循環部位と一致して出現し、その症状の多くは「痙攣」「痙縮」「麻痺」に関する症状とされています。そのため、痛みだけでなく、筋力低下なども経筋に原因がある可能性があるということです

以上のように、経筋には経脈とさまざまな違った特徴があります。

経絡と経筋の相違点

類似はしていても、経絡と経筋は別物です。とくに、経筋は直接臓腑と関係しないことはその特徴であり、覚えておく必要があります。

以下に相違点についてまとめます。

・経筋は直接臓腑に関係しない。そのため、臓腑名がつかない
・四肢末端に起始をもち、手の陰経と足の陽経とは逆行する
・経脈のように肺経に始まり肝経に終わり、その後また肺経に始まるような循環はない
・経脈のように直接気血の循環とは関係がない
・経脈と異なり随意運動が可能である

このように、経筋と臓腑は直接関係することはありませんが、経筋により脊柱、胸郭、骨盤などの骨格が支持され、それによって臓腑が保護されます。

また、臓腑の活動によって気血は作られ、経筋も気血によって栄養を受けています、また、五行論でも肝は筋(腱、筋膜など)、脾は肉(筋肉)を支配しているとされていることからも、内臓とは相互に関係していると言えます。

以上のように、東洋医学の概念には経絡だけではなく、経筋という概念もあります。この経筋という概念と経絡の概念を合わせることによって、より一層、東洋医学の概念を理学療法の臨床に取り入れやすくなると思います。

東洋医学を避けている人は、基礎理論につまづくことが多いです。そのため、まずは臨床に導入しやすい経絡の走行と経筋から学び、臨床に応用すると良いかと思います。

もちろん、基礎理論が一番大切ですので、東洋医学の概念に慣れてきたら基礎理論も学ぶ必要があります。基礎理論を学ぶことで、経絡、経筋の臨床応用の幅は格段に広がります。とはいえ、基礎理論を一から学ぶことはとても労力が必要になります。

そのため、経絡、経筋を使う中で、それと関係する基礎理論を学んでいくと良いかと思います。