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人の身体の組織にはさまざまな形があります。理学療法士として、そのような組織の一つ一つの形を見ると、「これは何のためにこのような形をしているのだろう?」と考えてしまう人は多いのではないでしょうか。

「その形であるから、そのような機能として使われているのか?」逆に「そのような機能が求められたから、そのような形になったのか?」は私にはわかりません。

しかし、形態と機能が関係していることは間違いないと思います。

そこで今回は、脊柱、胸郭、骨盤帯の骨格形態からその機能について予測し、さらに臨床とのつながりまで述べます。

脊柱の形態

脊柱の形態は、簡単に言うと前後方向に凹凸のあるS字状の形をしています。このS字の弯曲は、バネのように働き身体にかかる衝撃を吸収しているとされています。この脊柱の骨格形態は、S字かつ前後に凹凸があります。左右ではなく前後です。

この前後に凹凸があることにも、意味があるのではないかと考えます。その一つとして、前後方向の推進力を作るには左右方向の広がりより前後方向の凹凸があり、前後方向の動きが大きいことが有利ということが考えられます。

そのため、脊柱の前後方向の弯曲は推進力を作ることに関係している可能性があります。

また、前後方向の推進力が必要な動作として具体的には、歩行動作や立ち上がり、階段昇降動作などが挙げられます。

例えば、歩行時の前後方向の推進機能が低下していると、その代償として左右方向への動揺が大きくなります。人は、バランスを崩すことで歩行動作を行っています。そのため、その崩れを前後方向に作れない場合、左右方向に大きく崩れることになります。このことは、痛みとも大きく関係します。

例を変えて、階段昇降動作の話になりますが、階段昇降を行う際は前後の推進力が必要になります。ここで、脊柱の前後方向の弯曲が小さく脊柱での推進力が作れないと、その他の部位でこの代償します。

その時に、代償しやすいのが大腿四頭筋などの大きな筋になります。大腿四頭筋が代償的に過収縮すると、膝蓋大腿関節痛の原因になります。これは立ち上がり動作でも同様です。

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あなたが担当している患者さんで、階段昇降時や立ち上がり時に膝蓋大腿関節部に疼痛を訴える人はいませんか。その患者さんの脊柱は、前後方向に弯曲しているでしょうか。もし、脊柱の弯曲が小さい場合は、脊柱が原因かもしれません。

胸郭、骨盤帯の形態

胸郭、骨盤帯の形態は、脊柱の前後方向への弯曲とは対照的に、左右方向に広がっています。四足動物は、人間と比較すると上肢での支持が必要なため胸郭の前後方向への拡がりが大きくなっています。

人の胸郭が前後ではなく左右に広がっている理由の一つとして、左右方向のバランスの崩れに対応していることが考えられます。

人は二足歩行を獲得したがゆえに、支持基底面の縮小と、重心位置の上昇によって、より立位での安定性が低くなりました。また、先ほども述べたように、人の動作は基本的にバランスを崩すことによって生じます。

そして人は、歩く時に前を向いて歩く事からも想像できるように、もともと前後方向への動きを得意としています。

その前後方向への動きを作るのは、先ほど述べたような脊柱などの前後に凹凸がある組織です。そして、その得意な前後方向の動きが起こらない代償として生じた左右の崩れに対してバランスを保つのが、胸郭や骨盤帯などの横方向に広がっている骨格構造と考えます。

そのため、胸郭や骨盤帯などに問題が生じると、とくに半月板などの回旋ストレスに弱い組織や、側方の靱帯などの横方向の動きを制動する組織に障害が生じる可能性が高くなります。

例えば、「捻じったら膝が痛い」などの訴えはその典型例です。

また、下肢だけでなく肩関節などの上肢にも同様のことが言えます。肩関節の回旋障害はよく認められる問題ですが、これらは胸郭を構成している胸肋関節や肋椎関節にその原因があることが多いです。

以上は私見であり、その中の一例ですが、このように形態から機能を予測することは臨床上とても効果的です。

これを機会に、あなたも組織の形に疑問を持ち、是非その機能について考えてみて下さい。そうすることであなたの臨床の幅は大きく広がるはずです。