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動脈は栄養を供給し、静脈は老廃物を排泄します。このような機能からも、血管系は身体の治癒反応に大きく影響します。

そこで今回は、股関節に関する血管系について解説します。

解剖学

股関節の栄養血管は、大腿動脈、閉鎖動脈、下殿動脈から分岐した血管により栄養されます。大腿動脈は外腸骨動脈、総腸骨動脈、腹部大動脈から名前が変わったものになります。そして、大腿動脈からは大腿深動脈が分岐し、さらにそこから、内・外側大腿回旋動脈と3本の貫通枝が分岐します。

内側大腿回旋動脈

通常、大腿深動脈の後内側面から起こります。そして、内側方に大腿骨骨幹をまわり、最初に恥骨筋、腸腰筋の間を、その後、外閉鎖筋、短内転筋の間を通ります。さらに、短内転筋縁の近くで小さい枝を出し、寛骨臼切痕を通って股関節に入り、閉鎖動脈の寛骨臼枝と吻合します。

本幹は、大内転筋の上縁を越え、大腿方形筋の深層で2本の枝に分かれます。1本は転子窩へ上行枝、殿部の動脈、外側大腿回旋動脈と吻合します。そしてもう一本は、外側に走り、外側大腿回旋動脈、下殿動脈、第一貫通枝とともに股関節周囲で血管吻合を作ります。

外側大腿回旋動脈

通常、大腿深動脈の外側から起こります。縫工筋と大腿直筋の深層を通り、3本に分かれます。このうち、上行枝と横枝が股関節の栄養に関与します。

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1本目の枝(上行枝)は、大腿筋膜張筋の深層を外側に上行し、内側大腿回旋動脈の枝と吻合し、そこで、大腿骨頚を囲む血管網を作ります。

一方、2本目の枝(下行枝)は、大腿直筋の深層を下行し、外側広筋を貫通した後、膝窩動脈の枝と吻合します。

そして3本目の枝(横枝)は、外側に走って外側広筋を貫通し、骨幹周囲を周った後、内側大腿回旋動脈、下殿動脈、第一貫通枝と吻合し、股関節を栄養します。

貫通動脈

貫通動脈は、上方で股関節周囲の血管吻合ネットワークに加わります。第一貫通動脈は、短内転筋の上方、第二貫通動脈は前方、第三貫通動脈は下方で起こります。これら3本すべてが大内転筋を貫通し、大腿後面の構造物を栄養します。また貫通動脈は、上行枝、下行枝を出し、相互に接続する縦方向の血管網を作ります。そして、上方で股関節周囲の血管吻合ネットワーク、下方では膝窩動脈の枝と吻合します。

閉鎖動脈

閉鎖動脈は閉鎖管を通り抜け、前枝と後枝に分かれます。これらは、閉鎖膜の周縁で、外閉鎖筋の付着部辺りの血管網をつくります。これらは、近隣の筋に分布し、下殿動脈および内側大腿回旋動脈と吻合します。さらに寛骨臼枝が後枝から起こり、寛骨臼切痕を通り、骨頭を栄養します。

ちなみに下肢の深静脈系は、一般的に動脈に伴行します。

以上のように、股関節を栄養する血管も、さまざまな構造物から障害を受ける可能性があります。これらの構造物の問題が、あなたの患者さんの股関節痛を長引かせている原因かもしれません。