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理学療法士をはじめとしたセラピストは、学生時代に回旋筋腱板(ローテーターカフ)は重要だと学びます。しかし、この小さな筋群が実際に、肩関節にとってどのように大切なのかをイメージできる人は少ないと思います。

ただ、肩関節に痛みが出現している人のほとんどは、回旋筋腱板の機能に影響があります。そのため、肩関節疾患の患者さんを担当する機会があるセラピストは、回旋筋腱板について学ぶ必要があります。

そこで今回は、回旋筋腱板の作用について解説します。

回旋筋腱板とは

回旋筋腱板とは「棘上筋」「棘下筋」「小円筋」「肩甲下筋」という4つの筋の腱から構成されるものです。これらは肩関節を前方、上方、後方から包んでおり、肩関節の安定性に関与しているといわれています。また、それぞれが関節包に付着することで、その緊張を調整しているともされています。

一般的に知られている腱板に生じる問題として「腱板損傷」や「腱板断裂」が挙げられます。これは、若い人においては主に外傷で起こりますが、高齢者ではほとんどが自然に生じるとされています。実際に、高齢者における40%以上の人に、腱板断裂が認められるといわれています。

また、腱板断裂が生じていても、痛みなどの症状が何もない人が多いということも特徴です。

回旋筋腱板の役割

回旋筋腱板は、既に述べたように、肩関節を包むことにより肩の安定性を作り出しています。このことに関しては、イメージがしやすい人が多いのではないでしょうか。また回旋筋腱板は、関節包の緊張を調整することによっても関節を安定させます。

ここでは、回旋筋腱板が関節包の緊張を調整することで、肩関節の安定性にどう関与しているかを説明します。

例えば、肩関節を内旋位にした時、関節包においては後方が緊張し、前方が弛緩します。外旋時はこの逆になります。同じように挙上位では下方が伸張されますが、90°以上になると関節包は複雑に捻れるため、単純にどこが緊張しているとはいえなくなります

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そして、肩関節が内旋位の時は、関節包の前方が弛緩しているため、関節の前方は安定性が低い状態です。この肢位で肩関節に何かしらの負担がかかると、骨頭が前方に変位しやすくなっています。

そうなると、肩関節の前方にある、上腕二頭筋長頭腱や烏口上腕靱帯などの組織に過剰な伸張ストレスが生じ、痛みの原因となる可能性があります。

回旋筋腱板は関節包の緊張を調整し、関節を安定させる

このように、関節の「ある部位」の安定性が低下した場合、身体はその不安定性を補うように働きます。そして、その働きを担うのが回旋筋腱板です

既に述べたように肩関節が内旋しているときは、前方の関節包が弛緩します。その場合は、前方の関節包に付着した肩甲下筋が、その関節包の弛みを感知します。そして、肩甲下筋が収縮し、関節包を緊張させることで肩関節の安定性を保ちます。

回旋筋腱板に関するどこの筋に問題があるのか評価できる

今まで述べたことを応用することで、肩関節の評価につなげることができます。

例えば、肩甲骨面上での挙上抵抗運動を行い、内旋位、外旋位、中間位で疼痛の有無、筋力の強さをみます。そして、他の肢位と比較して内旋位で疼痛が出現したり、筋力低下が認められた場合、肩甲下筋の機能低下を疑うことができます。

本来であれば、肩関節内旋位では、関節包の弛緩を補うように働く、肩甲下筋が収縮している必要があります。しかし、肩甲下筋に機能低下が起こると、関節包を緊張させることができません。その結果として、肩関節の安定性が確保できずに疼痛や筋力低下が生じます。

これは他の肢位でも同様です。中間位では棘上筋、外旋位では棘下筋、小円筋の機能低下が疑われます。

このようにして、回旋筋腱板の知識は臨床に活かすことができます。この関節包と回旋筋腱板の関係性に関しては、全く逆のことを言っている人もいますが、個人的には、今回述べたような考え方が、当てはまることが多いと感じています。