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腱板障害は外傷、摩耗、インピンジメントなどによって起こる、理学療法士がよく遭遇する状態です。肩関節に疼痛を有する多くの患者さんは、腱板機能に何らかの問題があることが多く、その特徴を知っていることは必須になります。

今回はその中でも、腱板障害の進行に伴って起こる変化を詳しく解説します。

腱板損傷の原因

腱板損傷は先程挙げたように、外傷、摩耗、阻血、インピンジメントそしてステロイド注射の影響によって引き起こされます。

腱板は加齢変化の影響がよく言われますが、具体的な変化には血行の減少、付着部の線維軟骨の減少、腱の分断化、シャーピー線維を介した骨接合部の断裂などがあり、最終的には腱の梗塞を引き起こします。

腱板損傷の進行に伴う変化

この進行段階は大きく4つに分けられます。

最初のステージは浮腫や出血といった、血管反応を主体とするものです。繰り返される微細損傷によって引き起こされます。この時期は、屈曲最終域や2nd、3rd肢位での内旋での疼痛や有痛弧が見られるのが特徴です。最初の管理が上手くいけば、損傷した組織はこの段階で治癒します。

第2ステージは腱炎を主体とし、腱および滑液包の肥厚と線維化が起こります。この腱炎の腫脹は肩峰下インピンジメントを容易に起こすようにし、その悪循環を増幅させます。そして、最終的には腱の梗塞や瘢痕化が招かれます。

この時期は夜間痛、運動後の痛みなどが特徴的で、軟部組織の繊維や肥厚によって可動域の制限も認められます。

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そして次の第3ステージは、腱の退行性変性がさらに進んだ状態になります。この段階ではさらに疼痛が悪化し、活動性の低下や睡眠障害を引き起こします。このときの特徴としては、最終域での疼痛や有痛弧が見られ、局所麻酔によって自動運動が可能となります。

腱板が大断裂している場合は、局所麻酔によって自動運動がスムースになることはないため、鑑別の判断材料になります。

そして最後のステージになると退行変性が更に進行し、ささいなことで腱が大断裂をする可能性が高くなります。

以上のように、腱板損傷の変化も通常の炎症症状の過程をたどります。その過程で病態が進行すると、退行性変性によって腱板断裂に至る可能性が高くなってしまうのです。

腱板の自己修復能力

アキレス腱のように断裂後、自己修復能力が高い腱もあります。しかし、腱板の断裂は関節液や滑液包と関連しており、これらが血腫を取り除くことによって治癒に影響を与えます。

さらに、腱板断裂時に血管の損傷が起き、腱への血流が障害されます。つまり、瘢痕組織に修復できても、その機能は正常な腱板の機能と同程度まで回復する可能性は低いとされています。そのため、再断裂の可能性が高くなります。また、断裂した断端は中枢へ縮んでしまうということも、腱板が再生しにくい一要因となっています。

以上のように、腱板損傷のポイントも血流の回復になります。つまり、腱板損傷に対しての理学療法は、いかに初期の血管反応をコントロールし、その後の血液供給を促すかが大切だと考えます。