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肩峰下滑液包は、肩関節の痛みの原因としてよく挙げられる組織です。この部位の病変は、外傷など原因が明らかなものでも起こりますが、多くは回旋筋腱板の機能障害などが原因で、二次的に生じることがほとんどです。

今回は、肩峰下滑液包の解剖と病態の特徴について述べます。

肩峰下滑液包の解剖

肩峰下滑液包は字の通り、肩峰下のスペースに位置します。このスペースは烏口肩峰アーチといい、烏口突起と肩峰の2つの突起から作られます。この2つの突起は烏口肩峰靱帯によって連結され、靱帯によってアーチの屋根を形成しています。

烏口肩峰アーチの下に、表層から回旋筋腱板、肩峰下滑液包、そしてその延長部である三角筋下滑液包が存在します

この2つの滑液包は、回旋筋腱板の上と肩峰と三角筋の下で2重の漿膜表面からなり、滑液により潤滑されているため、それぞれが滑らかに動きます。また、この滑液包は滑膜に裏打ちされているため、最小限の刺激で滑液の量が増えたり減ったりします。

また、この肩峰下滑液包と肩甲下滑液包、烏口突起下滑液包の3つは交通している事が多く、この3つを総称して肩峰下滑液包と呼ぶこともあります。

ちなみに肩関節には、この他にも肩峰上滑液包、棘下筋下滑液包、大円筋と上腕二頭筋間、広背筋の付着部前方・後方、烏口腕筋背部など多くの滑液包が存在します。

肩峰下滑液包の特徴

肩峰下滑液包は棘上筋と隣接し、密接に関わりあって機能します。肩関節を繰り返し使う動作によって関節内に摩擦が生じた際、その摩擦を減らすために滑液包内の滑液量を増やします。このような現象が繰り返されることで滑液量が増加し、組織の緊張が高まることによって痛みが生じます。

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また、棘上筋がインピンジメントを起こすことによっても、同様の病態が生じる可能性があります。

つまり、過用により炎症が生じ、その過程で浮腫や腱の線維化が起こり、肩峰下にある組織が圧迫されるということが起こります。経過に伴い滑液包の肥大と線維化の変化が起こり、これによって肩峰下の摩擦はさらに増加します。

症状としては、強い疼痛と三角筋中部線維の付着部に限局した圧痛が特徴的です。棘上筋や上腕二頭筋腱のインピンジメント、烏口下滑液包炎は疼痛が広範囲に現れるという点で、その特徴が異なります。

中年以降に好発し、通常は激しい運動の数日以内に発症します。他動運動で回旋の制限は強くなく、回旋筋腱板に障害が及んでいない場合は、抵抗運動でも疼痛が生じません。しかし、挙上50~130°では肩峰下と棘上筋腱の間で、その腱の収縮によって炎症を起こしている滑液包が圧迫されるため、痛みを起こします。

また、肩関節を伸展・内転肢位にすると、滑液包が肩峰下から解放されるため疼痛は軽減する傾向にあります。触診にて滑液包を触診すると、滑液包の肥厚と激しい圧痛が認められることが多いです。さらに、滑液包の炎症が広がると、圧痛は結節間溝にまで達します。

その他にも、感染症、関節リウマチ、痛風、炎症性関節炎でも同じような症状が出現するため、それらとの鑑別が大切です。

以上のように、肩峰下滑液包は強い痛みを伴いやすく、初め疼痛は限局されますが、その症状は病態の進行によって広範囲に広がります。大切なことは、初期の対応を適切に行い炎症を速やかに沈静化させることであると考えます。