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慢性疼痛の中でよく話題になる疾患に「線維性筋痛症候群」があります。これは非関節性リウマチ疾患で、全身に痛みが出ることが特徴であり、慢性疲労と類似しています。線維性組織炎と名前が似ていますが、線維性筋痛症は炎症性ではなく、むしろ筋筋膜性疼痛に分類されます。

今回は、この線維性筋痛症について解説します。

線維性筋痛症候群の概要

線維性筋痛症は非関節性リウマチ疾患で、筋、腱、靭帯やその他の結合組織に変化が生じる疾患です。とくに肩や背部、股関節などの大きな領域に症状が出現しやすく、筋に症状が出るのが特徴です。35~55歳の女性に多く、若年もしくは壮年の年代にも多くみられます。

症状の特徴は広範囲に渡る漠然とした痛みが主で、感覚過敏があることがほとんどです。訴えは、こわばりや全身的疲労感、睡眠障害が主であり、感覚過敏に関しては、痛みだけでなく天候や寒冷、光や音などへの感覚も過敏になっています。

また、起床時の疲労感を訴える場合が多く、頭痛や下痢、腫脹感、しびれ感、頻尿、そしてさまざまな部位に感覚異常が出現することが多いです。そのため、神経疾患と似たような症状が出現しますが、実際には神経学的検査では異常がでません。

心配症など、心理的要因も症状に大きく影響し、常にイライラ、せかせかしているような人に多いとされています。

原因

細胞の炎症を示すような所見は組織学的に認められず、その原因は不明とされています。先程述べたように、心理的要素は多くの患者さんに認められ、約25パーセントの人にその要素があるとされています。

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発症の誘因はさまざまで、外傷や寒冷刺激などの外的ストレスや精神的ストレス、睡眠不足などの生活習慣などもその誘因として考えられています。他にも、ウイルスやバクテリア感染なども誘因として考えられています。

このようなに、心理的なことが誘因となる可能性があるため、もし理学療法士が患者さんの悩みに対して適当に対応したりすると、症状が悪化する可能性があるということです。

筋筋膜性疼痛との違い
この2つは似たようなものに思えますが、明らかな相違があり明確に区別する必要があります。両者の類似性は、筋の痛みとその圧迫時の過敏性です。

筋筋膜性疼痛は筋骨格系症状を呈し、各筋による関連痛パターンが特徴的であり、トリガーポイントが筋内に認められ、痛みが離れた部位に放散します。この場合は、心理的問題は通常認められず、睡眠障害は痛みによることが多いとされています。

一方、線維性筋痛症群は痛みが多くの筋、靭帯、骨に存在しますが、明確ではありません。症状の多くは非筋骨格性であり、疼痛点は筋以外の腱付着部、脂肪組織、骨突出部などに認められます。そして疼痛点の圧迫は放散痛を引き起こしません。また、ほとんどの患者さんで睡眠障害が認められ、心理的要因があることが多いです。

これらに、病理的に関連性があるのかどうかはさまざまな仮説がありますが、まだはっきりわかっていません。

以上のように、線維性筋痛症候群は筋筋膜性疼痛と似たような症状を示しますが、2つは全く異なるものです。予後としては、筋筋膜性疼痛は比較的良好ですが、線維性筋痛症候群は不良のことが多いです。また、線維性筋痛症候群は睡眠障害や心理的問題も関わってくるので、そちらへの対処も症状改善のためには必須になります。