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臨床において、「股関節を曲げると痛い」と訴える患者さんは多いです。股関節の屈曲には体のさまざまな部位が関係してきます。

今回は、股関節の屈曲について考えていきます。

まず、股関節の屈曲に制限が認められる場合、原因として「関節構成運動」「筋」「筋膜」の3つが考えられます。

股関節の運動には仙腸関節、腰椎の可動性が必要

股関節の屈曲運動は、正常で125°とされています。しかし、これは股関節の動きだけで達成されているわけではないのです。MRIを使った研究によって「純粋な股関節の屈曲角度は80°前後である」ということが証明されました。そして、それ以上の屈曲運動は仙腸関節と腰椎の可動性により達成されるとしています。

つまり、股関節の屈曲が80°以上になる時は、仙腸関節、腰椎の可動性が必要ということです。臨床でも、仙腸関節と腰椎の可動性を改善させると、股関節の屈曲角度が改善することが多いです。

また、股関節自体の関節構成運動が制限されていても、当然屈曲は制限されます。関節構成運動を制限する原因として多いのが、骨頭の前方変位です。骨頭の前方変位はさまざまな要因で生じます。

股関節の屈曲運動は大腿骨頭の後方への滑りを伴います。このとき、骨頭の後方にある梨状筋の緊張が高いと骨頭の後方への滑りが制限されます。

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さらに、股関節は形態上、安定性が高い構造体です。しかし、前方は骨に覆われていないため、靭帯や筋により安定性を得ています。そして、股関節は関節適合性の低下や安定性の低下が生じた場合、骨頭を前方変位させることで、安定性を確保します。これは、前方にある筋、靭帯に寄りかかることにより、張力を高めていると考えます。

筋、筋膜による制限

筋による制限は想像に難しくないと思います。後方にある、屈曲時に伸張される筋が短縮している場合、動きが制限されます。

股関節に関係する筋膜として、体幹の筋膜(横筋筋膜など)と大腿の筋膜(大腿筋膜)があります。これらの筋膜は、鼠径靭帯を介してつながっています。つまり、股関節が位置する部位でつながっていることになります。そしてこれらの筋膜は、つながっている部位に集まりやすいと言われており、股関節の前方部位に集まる傾向にあります。この筋膜の集合が、股関節屈曲時の前方のつまりになるとされています。

以上のように、股関節の屈曲制限にもさまざまな原因があります。もちろん変形による制限もありますが、今回述べたような機能的な問題による制限は、理学療法により改善することができるのです。