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理学療法の臨牀において「腰を動かすと下肢に症状が出る」という訴えは多いです。具体的な下肢の部位は「大腿後面」「大腿前面」「下肢後面」「下腿後面」「下腿前面」などさまざまです。

今回は、その中でも「腰椎伸展時に大腿前面に痛みが出現する」ケースについて解説します。

大腿前面に疼痛を引き起こす原因

大腿前面に痛みを引き起こす原因は、大きく4つ考えられます。大腿四頭筋を中心とした「筋組織」、大腿神経、大腿外側皮神経などの「神経組織」、「上位腰椎」からの関連痛、「股関節」の4つです。

これらの4つは、単独で出現することも、混合して出ることもあります。特に、「腰を動かして大腿に痛みが出る」との訴えの場合は、丁寧に鑑別していく必要があります。

単純に「腰を動かして症状が出る=上位腰椎の関連痛症状」と捉えると、失敗します

腰の動きは姿勢に注意

腰を動かしたら症状が誘発するとき、「立位」「座位」のどの姿勢で腰を動かしたかにより、ストレスがかかる部位が異なります。

立位

立位での腰椎伸展を行う場合、腰椎の伸展、股関節の伸展、大腿四頭筋の伸張、神経組織の伸張と、全ての組織においてストレスがかかります。つまり、どこが原因であっても症状が誘発される可能性があるということです。

立位での検査において、腰椎の影響を強くしたい場合は「骨盤帯の固定」「健側への荷重」を行い、股関節、大腿四頭筋の影響を取り除きます。この操作により、完全ではないですが、神経組織の影響も除けます。

座位

座位での腰椎伸展を行う場合、腰椎の伸展、股関節の屈曲、大腿四頭筋の収縮ストレスがかかります。この場合も、骨盤帯を固定することにより腰椎の影響を取り除けます。

注意する点は、どちらの姿勢においても、腰椎、股関節、大腿四頭筋にストレスが加わってしまうということです。つまり、この検査だけでは原因部位は鑑別できません。

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腰椎由来の症状を再現する

腰椎椎間関節は、伸展・患側側屈・患側回旋にて圧縮ストレスが加わります。つまり、伸展動作に側屈と回旋を加えることにより、症状が悪化する場合は、腰椎由来の症状の可能性が高いということです。

ここでも注意が必要です。患側に側屈するということは、患側への荷重量が多くなります。つまり「患側の股関節・大腿四頭筋への負担も増す」ということです。よって、ここでも確定的な鑑別はできません。

最も確定に近い鑑別は、腹臥位にて、椎間関節を徒手的に圧縮することにより行います。この刺激により、大腿部の症状が再現された場合、腰椎由来の症状の可能性が高いと考えることができます。この刺激は、腰椎以外にストレスが加わりません。

股関節由来の症状を再現する

股関節は、屈曲・内転・内旋にて関節にて関節に最もストレスが加わります。つまり、立位、座位の検査の後、背臥位にて股関節にストレスを加えて症状の再現をみます。

このストレスでは、腰椎も動きに関与しますが、腰椎は屈曲の動きを行います。よって、伸展ストレスは加わらないため、除外できると考えます。

神経組織由来の症状を再現する

神経組織の症状は神経伸張テストを行います。大腿神経のテスト(FNST)は腹臥位にて、膝関節の屈曲を行い、症状が再現されるかを確認します。さらに感度を上げるためには、股関節の伸展を強めます。

このテストの感度、特異度は文献によりさまざまで、さらに特異度を上げるにはcrossed FNSTが有効とされています。これは、健側で同じテストを行い、患側に症状が再現されると陽性になります。外側大腿皮神経のテストは、FNSTに内転を加えることにより症状が再現されるかを確認します。

大腿四頭筋の症状を再現する

筋組織の症状は「圧痛」「伸張痛」「収縮時痛」にて再現することが出来るかを確認します。筋に問題がある場合、大抵は上記のストレスで再現可能です。

以上のように、「腰椎を伸展したときの大腿前面痛」という訴えでも原因はさまざまです。丁寧な問診と検査が大切になります。