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後頭下筋群は、学生のときにはあまり重要視されていない筋肉です。しかし、臨床においては理学療法士の多くが、その身体への影響を考慮しています。

実際、後頭下筋群が過緊張を起こしたり、正常に収縮しないような状態になったりすると、「頭痛」や「目の痛み」「頚部痛」など、さまざまな症状が引き起こされます。そうした場合には、後頭下筋群に対して治療を行うことで問題が解消されます。

そのため、理学療法士が後頭下筋群について学ぶことは必須になります。

そこで今回は、後頭下筋群の基本的な解剖学から臨床における実際の考え方について述べます。

後頭下筋群の解剖

後頭下筋群は、上位頚椎と頭蓋底に付着する4つの筋から構成されます。具体的には、環椎と軸椎棘突起、横結節、後頭骨の上項線・下項線の周囲に付着しています。

これらの筋群は、第一頚神経の後枝によって支配されます。そして、この神経は椎骨動脈および関連静脈と共に、後頭筋群によって作られる後頭下三角(小後頭直筋と両頭斜筋の間)の中を通ります。さらに。大後頭神経や後頭下神経も後頭下筋群の周囲を通過します。

つまり、後頭下筋群の緊張が高くなると、第一頚神経と大後頭神経、後頭下神経、椎骨動静脈が圧迫される可能性があるといえます。また、後頭下筋群の栄養血管は椎骨動脈と後頭動脈の枝になります。

以下に後頭下筋群の起始と停止を載せます。

起始

停止

大後頭直筋

軸椎棘突起

下項線の下部の後頭骨外側部

小後頭直筋 

環椎後結節

下項線の下部の後頭骨内側部

上頭斜筋  

環椎横突起

上項線と下項線の間の後頭骨

下頭斜筋 

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軸椎棘突起

環椎横突起

後頭下筋群と目の関係

後頭下筋は目と密接に関係しています。そのため、目を過剰に使うと、それに伴って後頭下筋群も過緊張状態となります。

では、この2つが具体的にどのように関与しているかを説明します。

基本的に人は、脳に衝撃を加えることを嫌います。そのため、動作時には頭が極力動かないようにします。これは物を見るときも同様で、できるだけ頭を動かさずに目だけで物を見ようとします。

しかし、例えば右にある物を見ようとするときには、右側の視野が広がるため、頭頸部の右回旋が起った方が好都合です。そうしたことから、このような動作時には、自然と頭頸部を右に回旋させて物を捉えようとします。そして回旋運動は、とくに上位頚椎によって起こります。

この時、上位頚椎に付着する後頭下筋群が、頭が過剰に動き過ぎないように働きます。こうした回旋動作の制御に働くため、目を使いすぎると後頭筋群が過剰に緊張することになります

このようにして生じた後頭下筋群の過緊張は、筋自体による痛みも引き起こします。ただそれだけではなく、既に述べたような、椎骨動脈や第一頚神経、大後頭神経などを圧迫して、それらに関係した症状を誘発する可能性があります

また、第一頚神経は三叉神経の第一枝である眼神経と脊髄内でつながっています。つまり、後頭下筋群群の過緊張は後頭部痛や前頭部痛だけでなく、目の奥の痛みなどの眼窩関連症状を引き起こすことになるといえます。

ちなみに三叉神経の第二、三枝は、第一枝のように頚神経との関係があまりありません。そのため、三叉神経の第二、三枝に支配される顔面の目から下の領域には、頚椎由来の症状が波及することは少ないです。

今回述べたように、後頭下筋群は後頭部痛だけでなく前頭部や目といったような部位にまで影響がおよびます。このことを頭に入れて臨床に臨むと、また考察や治療の幅が広がるはずです。