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自然治癒力を最大限発揮している状態では、身体の組織が損傷しても、治癒するのに適切な時間さえあれば、ほとんどの組織は治癒すると考えています。つまり、理学療法士として、「自然治癒力を最大限発揮している状態とはどのような状態か?」を考えることは有意義であると考えています。

今回は、この「理学療法士における自然治癒力との関わり方」について、私見ですが述べたいと思います。

自然治癒力への関わり方

セラピストとしての自然治癒力への関わり方は、自然治癒力を阻害している因子を見つけ、それを取り除くことにあると考えています。基本的には、この因子を取り除くことにより、自然治癒力が最大限に発揮され、さまざまな症状は消失すると考えています。

理学療法士として、「痛み」がよく関わる症状ですので、痛みを例に考えます。

痛みは、組織への機械的刺激やそれによって起こった組織の損傷、そしてその治癒過程で生じる炎症反応などで生じます。

人の体は、あらゆる状況に適応するようになっています、これも自然治癒力です。よって、機械的刺激が加わると、それが加わり続けないような体の使い方をします。また組織が損傷すると、炎症反応が生じ、組織の治癒を促します。

自然治癒力が適切に働いている状態では、上記のような適応反応が生じ、適切な期間が過ぎれば、症状はなくなります

自然治癒力を阻害している因子

自然治癒力を発揮できていない状態とは、自然治癒を阻害している何かがある状態と言い換えることができるかと思います。つまり、その阻害している因子を同定し、その因子を取り除くことが、理学療法士としての自然治癒力への関わり方になると考えています。

そして、その阻害因子は二つ考えられます。

一つ目は、「持続的な機械的刺激」です。損傷した組織に持続的な機械的刺激が加わると、治癒過程は阻害されます。これは想像に難しくないかと思います。

例えば、足底部を怪我した後、裸足で生活し続けると怪我は治りません。これと同じです。このような状態は、体の治る反応より、壊す力が大きいということです。そして、持続的な機械的刺激が加わる状態とは、外力、つまり「重力に適応できていない状態」だと考えています。

また、重力に適応できていない状態とは、重力に適応する身体構造と機能が正常ではない状態と言えます。

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よって、「重力に適応する身体構造と機能は何か?」「その構造と機能はどのような状態が正常か?」を考えることが、結果として、持続的な機械的刺激の除去につながります。

二つ目は、「治癒反応自体の遷延」です。これは、簡単にいうと炎症反応の遷延です。体の組織や細胞は、治るためには炎症反応が必須です。炎症が生じることにより、異物を除去するための細胞が損傷部位に集まり、異物など不必要なものは除去します。そして、損傷した組織の修復のための材料を損傷部位に届けます。

炎症反応が起こらないと、異物は体内に残り、痛みを誘発する物質は損傷部位に止まり、組織は損傷したままになります。このような状態は、体の治る力自体が弱いということです。

つまり、炎症反応が円滑に進行し、終焉することが、体が治るための必要条件だということです。

よって、これも先程と同様で「炎症反応を円滑に進行し、終焉するために必要な構造と機能は何か?」「その構造と機能はどのような状態が正常か?」を考えることが、体の治癒反応の遷延化の除去につながります。

自然治癒力に関連する構造と機能

重力に適応する構造は、進化の過程やバイオメカニクスなどのさまざまな観点から、筋、脊柱、胸郭、骨盤帯、筋膜系であると考えています。一方、治癒反応に関係する構造と機能は体液系、神経系、筋膜系だと考えています。

そして、これらに関係する構造が正常であることが、機能を正常にすることにつながります。以上の構造と機能が自然治癒力に関連するものと考えています。

上記のように、自然治癒力を最大限発揮している状態とは、重力に適応する構造である筋、脊柱、胸郭、骨盤帯、筋膜系、炎症反応に関与する構造と機能である体液系、神経系、筋膜系が正常であることだと考えます。

ほとんどの、治療手技はこの二つのどちらかに関与しているはずです。あなたが普段行っている治療はいかがでしょうか。どちらかに偏った治療を行っていると、必ず治らない患者さんが出てくるはずです。

これは、これらの全てを網羅しなければならないということではありません。人それぞれ得意、不得意は有ります。あなたが不得意としている範囲に、担当している患者さんの問題がある場合、そこを得意とする人にお願いすればよいのです。

大切なことは、治らない患者さんを一人で抱え込んで治らないままにしないことです。