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肩関節の運動時によく知られるリズムとして、肩甲上腕リズムがあります。これは、肩関節を拳上する際に、肩甲胸郭関節と肩甲上腕関節の動きに一定の規則性があるというものです。肩甲上腕リズムは学生でもよく知っているものですが、臨床では肩関節に関するもう一つのリズムを理解しておく必要があります。

そのリズムは、関節窩と上腕骨頭の接触面がどのような軌跡を描くかという「臼蓋上腕リズム」です。このリズムは、肩関節疾患の患者さんを担当する人には必須の知識になります。

そこで今回は、臼蓋上腕リズムについて解説します。

臼蓋上腕リズムとは

臼蓋上腕リズムとは、肩関節の運動時に、関節窩と上腕骨頭がある一定の相対的な動きをしていることを指します。この運動は①ship roll(下垂位での骨頭の上下動揺)②ball roll(骨頭の転がり運動)③gliding(骨頭の滑り運動)④rotation(軸回旋運動)の4つから成るとされています。以下に具体的な動作に伴うリズムを説明します。

屈曲、伸展動作

屈曲動作時には、90°までは骨頭の後方への軸回旋が起こります。その後は、上腕骨頭の関節軸がわずかに傾いているため、軸回旋と同時に下方へ滑り、わずかに内旋します。伸展はこの逆の運動が起こります。

外転、内転動作

外転時には、骨頭の下方滑りと同時にわずかな外旋が起こります。内転時はこの逆です。

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外旋、内旋動作

外旋時には、骨頭の前方滑り、内旋時には後方滑りが起こります。

実際の運動時には、これらの運動が複合しているため、さらに複雑な動きをしています。

軟部組織の柔軟性低下は臼蓋上腕リズムに影響する

以上のような臼蓋上腕リズムをふまえると、関節可動域制限に対しての考え方が広がります。

例えば、肩関節屈曲時には後方への軸回旋と下方への滑り運動が必要です。そのため、小円筋や後下方の関節包などの過緊張や伸張性低下がある場合、そのリズムが障害され屈曲運動が制限されます。

つまり、屈曲制限が認められた場合、肩関節の後下方の組織に何らかの問題があるという予測ができます。これは、その他の動作にしても同様です。

また、他動的に動かした時に骨頭の動きを触知し「正常なリズムで動いているか」「動いていないならその抵抗はどの組織から生じているか」ということを感じることも大切です。もちろん、このためには正常の動きを知っておく必要があります。

以上のように、臼蓋上腕リズム応用することで、肩関節の障害にたいしてさまざまな考え方ができるようになります。知っている人にとっては当たり前の知識ですが、意外と知らない人もいますので、これを機会に覚えておいてください。