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半月板損傷の患者さんの治療に難渋した経験はありませんでしょうか。半月板損傷は、若い人から高齢者までさまざまな年代の人に起こり、よく理学療法の処方が出される疾患です。

半月板損傷患者の治療に難渋する原因として、その症状の多様性が挙げられます。痛みはもちろんのこと、「引っ掛かり感」や「不安定感」などさまざまな症状が出現します。

そして、その多様性は半月板の解剖学と運動学の複雑さによって作り出されます。そのため、半月板の解剖学と運動学を理解することは、半月板損傷患者の治療をスムーズに進めるために必須になります。

また、多くの解剖学書や運動学書は、その内容が十分ではありません。

そこで今回は、他の解剖学書や運動学書に書かれていない、実用的な半月板の解剖学的知識について解説します。

内側半月板

膝関節の半月板は、C型である内側半月板とO型である外側半月板から成ります。そして半月板は、骨形態学的には不安定である膝関節の関節面の適合性を確保しています。

内側半月板は半月状であり、前角に比較して後角が相対的に広くなっています。この角は広いほど障害を受けやすくなります。そのような理由からも半月板断裂の70パーセントが後角に起こります

また、内側半月板で重要なことは、その周囲組織との関係性です。

前角の中心部は横靱帯に付着しており、横靱帯は内側半月板のみでなく、外側半月板の前角にも付着しています。一方、後角の中心部は脛骨後方部、後十字靱帯停止部前方の顆間切痕に付着しています。

さらに、内側半月板の周辺部は関節包に付着します。そして、その中央では関節が厚くなり、深部内側靱帯となり、脛骨と大腿骨を強固につなぎます。また、内側側副靱帯の深部組織にも支持されているため、内側半月板は安定し、可動性が低くなっています

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その他にも半月脛骨靱帯や半月大腿靱帯といった冠状靱帯によっても補強され、その安定性が保たれています。

このように内側半月板には筋は付着していませんが、前方では前角に半月膝蓋靱帯が、後方では半膜様筋腱が関節包に付着しているため、大腿四頭筋と半膜様筋による影響を受けます

このような筋との関係によって、膝関節伸展時の半月板の前方への滑りと、屈曲時の後方への滑りが誘導されます。

外側半月板

一方、外側半月板はほぼ円形で、前角、後角ともに幅が広いです。内側半月板と外側半月板は多くの点で、その特徴が異なります。

その一番の違いは、半月板の可動性にあり、内側半月板が安定し可動性が低いのに対し、外側半月板は、外周部が強固に付着していないため、より大きな可動性があります。内側半月板の移動量が5㎜程度であるのに対し、外側半月板は約12㎜動くとされています。

外側半月板の前角は、顆間隆起の前方で脛骨近位部に付着し、後角は顆間隆起の後方に付着します。また、前角は前十字靱帯の前方組織と、後角は後方組織と一体化しています。

そして、外側半月板は内側半月板と違い、大腿四頭筋、膝窩筋腱が直接付着しています。そのため、この2つの筋の作用によって、膝関節屈伸時の前後方への半月板の動きが誘導されます。さらに、半月板の後角は半月大腿靱帯と後十字靱帯からも支持を受けています。

以上のように、半月板は内外側それぞれに付着する組織に違いがあり、その違いが機能の違いを生み出しています。そのため、まずは今回解説した基本的な解剖学を理解していることが大切です。