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理学療法の世界でも、頭蓋仙骨療法のセミナーを行う団体は多くあるため、脳脊髄液もよく聞く言葉であると思います。学生のときは「脳脊髄液はくも膜顆粒(パキオニ小体)から吸収される」と習い、そのことしか知りませんでした。しかし、実際にはこのことすら間違いであったことがわかっています。

そこで、今回はこの脳脊髄液に関して解説します。

脳脊髄液の役割

多くの教科書には、循環系(脈管系)は心臓血管系とリンパ管系に分かれ、前者はさらに動脈系と静脈系とにわかれると書いてあります。それに加えて、脳脊髄液はリンパ管系に匹敵するほど重要であり「第三の循環系」を形成しているのです。

つまり循環系は、動静脈系、リンパ管系、脳脊髄液の3つによって成り立つということです。

動脈性毛細血管から、水分をはじめ、血液の赤血球以外の血液成分が体の組織にしみ出ます。この組織液のことをリンパとよび、このリンパを静脈に戻す管系がリンパ管系になります。この組織液は、静脈性毛細血管と毛細リンパ管から吸収されることによってバランスがとられ、体はみずみずしさを保ち、干からびたり水ぶくれにならないようになっています。

そして、脳と神経の組織液はリンパではなく脳脊髄液なのです。

よって、脳脊髄液には、通常知られる神経系のクッション機能に加えて、中枢神経系、末梢神経に対する栄養機能もあるのです

脳脊髄液の流れ

脳脊髄液、すなわち髄液は脳の脈絡叢で作られ、脳室内に分泌されます。そして、第四脳室のマジャンディ孔とルシュカ孔からくも膜下腔に出ます。残りの髄液は中心管の中を終糸まで流れ、ここにあいてある「中山の孔」からくも膜下腔に出ます。そしてここから上行性に移動し、脳幹部まで戻り、脈絡叢と「脳室周囲器官」とよばれるところの静脈性毛細血管から静脈へ吸収されます。

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この流れはほとんどの教科書には書いてありません。多くは「脳脊髄液はくも膜顆粒から、上矢状静脈洞に流入する」と書いてあります。しかし、くも膜顆粒は乳児、胎児にはありません

また、ウサギなどの小型の動物にもありませんが、くも膜顆粒がない動物も髄液をもっています。もし、くも膜顆粒が髄液の流出口なら、これらの動物は生きることができず、新生児も水頭症になることが予測されます。

そしてその問題を解決したのが、先ほど述べたような新しい髄液の流出路の発見です。

さらに詳しく髄液の流れを解説します。

末梢神経はコラーゲンでできた鞘で束ねられています。このなかの一つ一つの神経は、表面を網状コラーゲン線維に包まれながら、神経周膜に納められます。この神経周膜の細胞は脊髄から出る時に、脊髄の蜘網膜バリア細胞と連なっているのです。つまり、神経周膜の中にくも膜下腔の髄液が入っているということです。

そしてよく聞く「脳脊髄液減少症」は、髄液がこの神経周膜の末端で、リンパの中にわずかに漏れだすことによって起こります。これは外傷によって、神経周膜が破れるために生じる現象です。

以上のように、脳脊髄液は従来知られる経路とは別の経路でも流れています。そして新しい経路では神経周膜を介して、末梢神経の組織液として全身に流れていることが判明しました。

学校で習ったことと違うことが真実であることは多々あります。そのため、理学療法士は日々新しい情報を手に入れる努力をしなければならないのです。