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横隔膜は呼吸の際に働くことで有名な筋です。吸気の際に収縮し、胸腔内圧を下げることによって外気を取り込むことに貢献します。また、上方では心膜とつながり、下方では肝臓をはじめとするさまざまな臓器とつながります。このように横隔膜は身体にとってとても重要な役割を担っています。

しかし、この横隔膜を貫くものを全て覚えている人や呼吸以外の機能を理解している人は少ないのではないでしょうか。

そこで今回は、横隔膜の解剖と機能について解説します。

 

横隔膜を貫くもの

横隔膜には3つの大きな穴があります。それは大静脈孔、食道裂孔、大動脈裂孔です。

大静脈孔は正中線よりやや右側に位置し、安静呼吸時にTh8の高さにあります。ここは下大静脈と右横隔神経、さらに中横隔リンパ節と縦隔リンパ節に向かうリンパ管を通します。

食道裂孔は正中線よりやや左側に位置し、安静呼吸時にTh10の高さにあり、右脚を構成する筋線維で囲まれます。ここは食道に加えて迷走神経幹、左胃動静脈、数本のリンパ管を通します。

大動脈裂孔は横隔膜というよりはその後方にあり、正中弓状靱帯とTh12椎体との間に位置します。ここは大動脈や胸管、奇静脈を通します。つまり、横隔膜の運動は大動脈には影響しません。また同様に、左右の交感神経管は内側弓状靱帯と大腰筋前面の間、肋下神経、動静脈は外側弓状靱帯と腰方形筋の前面を通ります。

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さらに、左横隔神経は横隔膜の左の隆起部を貫き、大・小内臓神経は横隔膜左右脚を貫いた後、腹腔神経叢に達します。

筋膜のつながり

先ほど述べたように横隔膜は、さまざまな臓器と筋膜によって関係しています。上方では心横隔靱帯を介し心臓とつながり、下方ではさまざまな内臓とつながります。具体的には、胃横隔間膜、三角間膜・冠状間膜、横行結腸間膜、トライツ靱帯、横隔膜ひだを介し胃、肝臓、横行結腸、十二指腸、脾臓とつながっています。

また、横隔膜は横筋筋膜により腹膜につながります。

このように横隔膜は、胸腔内臓器と腹腔内臓器をつなげる役割があるのです。

横隔膜の機能

冒頭で述べたように、横隔膜は吸気に大きく影響します。しかし、横隔膜には呼吸の他に、さらに重要な機能があります。

それは、静脈還流の促通です。横隔膜が収縮すると、腹腔内圧が高まり静脈が圧迫されます。同時に横隔膜を貫く下大静脈も圧迫されるため、静脈血はうっ帯した状態になります。続いて横隔膜の弛緩に伴い下大静脈が解放され、うっ帯していた静脈血が一気に還流します。このようなメカニズムで静脈環流が促されます。

つまり、横隔膜の障害は体の治癒反応にも影響してくるということです。

以上のように、横隔膜はさまざまな構造物が貫き、それに伴って静脈環流を促すという大事な役割も担っています。呼吸や筋膜のつながりだけではなく、このような横隔膜の機能にも注目すると、また治療の幅も広がるのではないでしょうか。