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肩関節の痛みの原因の一つに、腋窩神経が挙げられます。腋窩神経は、腕神経叢の後束から起こり、三角筋や小円筋の運動と上腕外側の知覚を支配します。

また、臨床の現場でよく遭遇する肩の痛みの原因として知られる神経です。それは、肩関節の後方で、筋や骨で囲まれたスペースを通過するため、その部位で圧迫を受けることが多いからです。

今回は、この腋窩神経の絞扼障害について解説します。

紋扼性神経障害

紋扼性神経障害とは、神経が筋や筋膜などの周囲を通過する際に、その周辺の構造物で圧迫されることによって生じる障害です。肩関節では上腕三頭筋長頭腱、大円筋、上腕骨、小円筋でつくられるスペースで絞扼される橈骨神経、大腿部では大内転筋裂孔部での伏在神経などが例として挙げられます。

神経は圧迫や伸張、阻血に弱く、このような刺激が加わると、その神経領域の知覚障害、放散痛、支配筋の筋力低下などが起こる可能性があります。

紋扼性神経障害は臨床でもよく見かける病態であり、はっきりしない症状が、実は絞扼性障害だったということは多々あります。このような障害は、解剖学的な知識があれば簡単に理解できます。気になる神経がある場合は、一度その走行と絞扼する可能性がある組織を調べてみて下さい。

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Quadrilateral space(QLS)の機能解剖と紋扼性障害の特徴

QLSは先ほど述べたように、上腕三頭筋長頭腱、大円筋、小円筋、上腕骨で作られるスペースのことを指します。ここは、腋窩神経や後上腕回旋動脈が通過します。そのため、これらの筋の過緊張があるとこれらの神経と動脈を圧迫する可能性があります。

また大事なことは、肩関節の運動方向の違いによって、QLSを構成する筋の走行が変化することでそのスペースの拡大や狭小化が起こるということです。

肩関節下垂では、比較的その間隙は広く保たれていますが、挙上に伴い前方から大円筋、下方から上腕三頭筋、後方から小円筋がその間隙を狭くします。さらに、水平内転は小円筋による後方からの圧迫を強めるため、その症状を強くします。

症状の特徴としては、肩関節後面から上腕外側に広がる放散痛、QLSの圧痛、水平内転による上腕外側への放散痛、上腕外側の知覚障害、肩関節の外転筋力の低下、三角筋の萎縮などがあります。

これらの中でも、筋萎縮が生じる前に発見し治療することが重要です。そして、早期発見には圧痛と知覚障害に気づくことがポイントです。そのため、圧痛と知覚障害が認められた場合は、まずQLSでの絞扼障害を疑ってください。

以上のように、QLSでの絞扼障害はさまざまな症状を引き起こすため、多くの肩関節痛に関わっている可能性があります。QLSでの症状が疑われた場合は、解剖学や運動学の知識を用いて適切に鑑別し、対処することが大切です。