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理学療法の臨床において、寒冷療法を行う際、さまざまな方法がとられています。その方法の違いによる効果の違いを知っておくことは大切です。

そこで今回は、冷却が体に及ぼす作用に関して、基本的なことを書きます。

表面温度

冷却は、冷却する表面の温度をただちに、そして素早く低下させます。そして、最終的に、表面温度が冷却器具の温度よりも数度だけ上の状態でプラトーに達するまで、冷却の速さは着実に低下します。つまり、初めに急激に低下し、次第にゆるやかに、そしてプラトーになります

表面温度は、冷却をやめた後、直後に急激に上昇し、その後は時間をかけてゆるやかに前の温度に戻っていきます。

深部組織温度

深部組織の反応は、組織の深さとタイプによって変わります。皮下組織は、皮膚と同様に初め急激な低下が生じ、次第にゆるやかになります。一方、より深部の組織温度は、冷却の適用後数分まで低下し始めることはなく、皮下組織よりも、ゆっくりそして少ない程度で低下します。これは、多層の組織分子の間を熱が伝導するのに時間が必要だからです。

そして、深部組織の温度は、冷却が終了した後も下がり続けます。これは、深部組織の冷却は熱伝導によるものだからです。熱伝導は、冷却を取り除いた後も持続します。つまり、表面の皮膚と深部組織の温度差がある限り、深部組織の温度は下がり続けるということです。

脂肪組織は、その下の深部組織への冷却効果を低下させます。よって、深部組織の温度変化はその上にある脂肪量と相関します。

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冷却適用後のリウォーミング

冷却の適用後、冷却されていた部位は大気、周辺の組織、深部の組織、そして血液からの熱伝導により、再び温まります。さまざまな研究が行われていますが、一般的に、冷却の時間が長く、そして組織が深いほど、リウォーミングは緩慢に生じます。

例えば、10分間のアイスマッサージ後、深さ2㎝か、それよりも浅い組織で測定した結果は、温度が徐々に上昇するのが観察されました。一方、それより深部の組織では、50分間温度低下が持続していました。

熱容量

比熱とは、1kgの物質の温度を1℃上げるのに必要な熱エネルギー量を示します。つまり、比熱が大きいほど、多くの熱エネルギーを引き出すことができるということです。水は極めて比熱が大きく、体を冷却する効果が高いです

融解熱とは、物質がその温度を変えることなく、固体から液体に変化するときに必要とされる熱エネルギー量です。0℃の氷を0℃の水に変えるのには多くの熱エネルギーが必要です。

コールドゲルパックはゼラチン様の物質に水と不凍液を混ぜたものであるので、固く凍ることはありません。コールドパックゲルはクラッシュアイスバッグの約1/4の効果しか発揮しないのに、0℃以下のかなりの低温まで冷やす必要があります。そのため、直接皮膚に適応すると、数分のうちに凍傷を起こす可能性があります。

以上のように、冷却がどのように体に作用するかを知ることにより、ケースによって冷却の方法が変わってきます。この知識があるだけで、リスク管理はもちろんのこと、治療効果も劇的に変わってくるはずです。