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胸肋関節と肋椎関節は、学校でも詳しく習わず、臨床においても重要視している人は少ないのではないでしょうか。しかし、この二つの関節は肩甲骨の動きに関係しており、とても重要な役割があります。

今回は、この2つの関節について述べたいと思います。

肩甲骨には肩関節の関節適合性を維持する役割がある

胸肋関節と肋椎関節がお互いに関係していることは、両関節ともに肋骨を共有していることから、想像できると思います。

基本的に、関節は適合性を維持することで、その機能を発揮します。よって、関節は適合性が悪くなることを避けます。具体的には、適合性が悪くなる角度にならないように、「痛み」「筋スパズム」にて運動制限を作ります。このことにより、関節の適合性が低下することを避けます。

例えば、肩関節の水平内転運動時に、水平内転100°までは適合性が維持されたとします。このとき、100°を越えて動作を行おうとすると、小円筋のスパズムや肩関節の痛みにより、100°を越えないように制限されます。

そして、肩関節において、関節の適合性を調整するのは肩甲骨になります。

肩甲骨は挙上・下制、外転・内転、前方突出・後退、上方回旋・下方回旋の運動が知られています。これらの軸は胸鎖関節や肩鎖関節、肩甲骨内のある一点に存在します。

しかし、これらの動きだけでは、関節窩の位置調節はできません。この調整には、「関節窩を軸とした運動」が必要になります。

実は、その関節の適合性を維持するための運動に胸肋、肋椎関節が関わっているのです

関節窩を軸とした運動は、肩甲骨内側縁、上下角の動きが主になります。関節窩を軸に内側縁が浮き上がる、沈むような動きをします(関節窩を固定し、肩甲骨内側縁を引き剥がすような運動と、内側縁を胸郭に押し込むような運動です)。このとき、肩甲骨と共に、胸郭の動きを作る胸肋、肋椎関節の動きが伴います。

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つまり、胸肋、肋椎関節の動きに制限があると、関節にとって最も重要な関節適合性の維持に障害が出てしまうということです。

「ゼロポジション」は関節位置調整の評価に適している

ゼロポジションは、インドの整形外科医であるSaha.A.Kにより発見されました。ゼロポジションの定義は「肩甲骨棘突起と上腕骨の長軸が一致し、肩周辺の筋収縮力が均等になり、自発的な筋力発揮では肩甲上腕関節の回旋運動が不可能になるポジショニング」とされています。

つまり、ゼロポジションでの肩関節の回旋運動では、肩甲骨と胸肋、肋椎関節の動きによって、見せかけの肩甲上腕関節の内外旋が起こっている(実際には肩甲上腕関節は動いていない)のです

そして、この自動運動での位置調整の機能を担っているのが、回旋筋腱板筋になります。これらの筋群には、このような、上腕骨の動きに対する肩甲骨の位置調節を行うという、大切な働きがあります。その結果として、関節の適合性が維持されます。

そのため、このポジションにおける自動内外旋運動で、痛みや可動域の制限などが認められた場合、「肩甲骨、胸肋、肋椎関節の運動制限がある」か「回旋筋腱板筋に機能不全がある」ということが疑われます。

このように、胸肋、肋椎関節は肩関節の適合性維持を行う、「肩甲骨関節窩の位置調整」に大きく関与しています。胸鎖、肩鎖関節と同様に、動きも小さく目立たない関節ですが、これらは協調することで関節窩の位置調整を行います。

以上のことからも、胸肋、肋椎関節は、臨床上とても重要な関節ということがわかるかと思います。