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肩のインナーマッスルと呼ばれる回旋筋腱板筋の重要性に関しては、さまざまなことが言われています。例えば、肩関節の安定性に関係している、関節内運動に影響しているなどがあります。

しかし、実は回旋筋腱板筋の主な役割が、肩甲骨の動きの調節ということを知っている人は少ないです。肩甲骨の運動をコントロールすることで、関節の適合性を維持しています。

今回は、この回旋筋腱板筋が肩甲骨の動きにどのように関与しているかを解説します。

関節にとって重要なのは「適合性」

関節にとって一番都合が悪いのは、どのような状態でしょうか。それは「脱臼」している状態です。脱臼してしまうと、関節の機能が全く発揮されません。つまり、関節にとって脱臼は最悪なことだということです。この脱臼というのは、関節の適合性が失われてしまった状態です。

人間の体には、「ホメオスタシス機能」があります。これは、ある平衡状態から外れた時に、自然と元の平衡状態まで戻るようになっている機能です。つまり、人間の防衛機能であり、体が壊れないように働いているものと言えます。

これは運動機能に関しても同様であり、関節が脱臼しそうになるとそれを避けるようにホメオスタシス機構が働きます。

肩甲骨が動くことにより適合性が維持される

肩関節は、肩甲骨にある関節窩と上腕骨頭から構成されます。そして、手を使う作業を行う時は、手から上腕までが動くことで、動作が達成されます。実はこの時、上腕骨が動くたびに、わずかですが関節の適合性が悪くなってしまいます。

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先ほども述べたように、人間の体は防衛機能があり、脱臼までいかずとも、その可能性があるような場合(わずかな関節「適合性」のズレ)にも自動的に調整が行われます。この時、上腕骨の動きに追随して肩甲骨が動くことにより関節適合性の調整が行われています。そして、この細かい修正を行うのが回旋筋腱板筋というわけです。

そのため、実は回旋筋腱板筋の主な役割とは、上腕骨を動かすことでなく「肩甲骨を動かし、関節の適合性を調整すること」ということになります。

ちなみに臨床において、この機能が保たれているかは、一般的な筋力検査ではわかりません。

「ゼロポジション」では肩甲上腕関節は動かない

ここで1つの知識が必要になります。肩関節には「ゼロポジション」という肢位があります。これは、肩甲骨面上で約130°挙上した肢位をいいます。この位置では肩甲上腕関節の安定性が確保されており、肩甲上腕関節の運動が起こりません。

つまり、このポジションでの外旋や内旋運動は、純粋な肩甲骨の動きで作り出しているということになります。そして、この肩甲骨の動きを作り出しているのが回旋筋腱板筋になります。

このことから、「回旋筋腱板筋の肩甲骨による関節適合性の調節の機能を検査する方法」は、「ゼロポジションでの外旋、内旋運動を行う」ということになります。この時、内外旋運動が上手く行われない、痛みが出るなどの現象が認められた場合は、この機能に問題があることが疑われます。

以上のように、回旋筋腱板筋には一般的に言われているものより大事な役割、「関節適合性の維持機能」というものがあることを知っておくことが大切です。