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自然治癒力は、全ての人間に備わっている力です。

例えば腕を骨折した場合、一定期間固定すると骨は元に戻ります。これは傷でも同じで、人の体は組織が損傷すると自動的に修復しようとします。

また、個体として生命が維持されるためには、外部環境の変化に対して内部環境(体内環境)をある範囲内に保つことが必須です。このような生体の働きは、「生体恒常性(ホメオスタシス)」と言われ、生命の一般原理として知られています。

そこで今回は、生体恒常性に関わる身体のシステムについて述べます。

生体恒常性に関わる3つのシステム

体の機能を維持する生体恒常性は、主に「自律神経系」「内分泌系」「免疫系」の3つのシステムによってコントロールされています。

自律神経系

生体恒常性の維持のためには、生体内の各器官が協調して働く必要があります。ある器官の働きが過剰であれば抑制し、不足していれば補うという調整が必要です。

このような調整を行う仕組みの一つが自律神経系です。

例えば運動を行い血圧が変化した場合、生体恒常性の働きによって血圧は調整されます。このとき、血管にある受容器がその情報を感知し、神経系を介して情報を血管運動中枢に伝えます。そして同様に、その中枢で修正された情報も神経系を介して、心臓や血管に伝えられ、血圧が戻ります。

この末梢組織と中枢神経系をつないでいるのが自律神経系です。

このように自律神経系は、生体恒常性の中でも神経性の調節によって、体の異常を修正する機能を果たしています。

内分泌系

自律神経系と異なり、ホルモンなどの体液性の調整を行い、生体恒常性に関与しているのが内分泌系です。

内分泌系は、「生体の特定の組織または内分泌器官で産生されるホルモンが、血液を介して全身の組織に運ばれ、特定の標的器官に作用し特異的な働きを誘発するようなシステム」と言えます。

この特異的な働きというものが、情報の伝達になります。

例えば、血中のカルシウム濃度が上昇した場合、その変化を内分泌器官である上皮小体が感知します。そして、上皮小体はパラソルモンというホルモンの分泌を抑制することで、結果的に血中のカルシウム濃度を下げます。

このように内分泌系は、生体恒常性の中でも体液性の調整によって、体の状態を修正しています。

免疫系

そして最後が免疫系です。免疫系は、生体にとって異質な物質を認識し、排除することで生体を防御しているものです。そして免疫系は、大きく「液性免疫」と「細胞性免疫」の2つに分類されます。

その働きは、主に自律神経系と内分泌系によって調整されています。

そのため理学療法士としては、自律神経系と内分泌系を正常化させることで、結果的に免疫系に働きかけることができます。

以上のように、生体恒常性維持のためには、組織間の情報伝達が不可欠です。その役割を主に担っているのが、自律神経系と内分泌系になります。そのため、理学療法士としてこれらの知識を持っていることは必須になります。

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筋膜と生体恒常性の関係性

ここまで述べたように、生体恒常性の維持のためには、情報の伝達が欠かせません。その伝達に関係しているものでは、自律神経系と内分泌系の2つが有名です。

そして実は、組織間の情報伝達にはもう一つ関係してるシステムがあります。それは「筋膜」です。

そこでここからは、そのもう一つの情報伝達システムである「筋膜系」について述べます。

「振動エネルギー」による情報伝達

身体に起こった変化は、ある媒体を介して全身に伝えられます。その媒体が、自律神経系では神経伝達物質であり、内分泌系ではホルモンです。

そして、もう一つ身体が情報伝達のために使っているものが「振動エネルギー」になります。

振動エネルギーとは、その名の通り振動によって作り出されるエネルギーです。これは電気的信号によって生み出される磁気力のことを指します。

物理学の基本的な法則に「電流が導体を伝って流れるとき、その周囲の空間に磁場が発生する」というものがあります。この現象の発見によって、電気的診断手段に代わり、心磁気計や脳磁気計などの磁気的診断手段が新しく作られました。

磁気は電気と違い、骨や結合組織、皮膚などの影響を受けません。一方、電気的信号はさまざまな影響を受けるため、体外に到達し脳波として測定するまでに約1万分の1まで弱まります。

そのため、磁気力の測定は電気的診断法より、詳しく正確な情報を得ることができます。

振動エネルギーを伝えるのは「筋膜系」

そして、この磁気力である振動エネルギーを伝えるものが「筋膜系」になります。ここでいう筋膜系は、一般的に知られる筋膜に加え、血管周囲膜や内臓周囲膜なども含めた「結合組織」を意味します。

この結合組織は、循環系、神経系、筋骨格系、消化器系および種々の臓器、腺などの生体の主たる組織や器官を覆い、全身をつなぐ役割をしています。

結合組織にかかる張力や圧力は、組織の結晶構造に作用し、電気的信号を発生させます。そして、この電気的信号から振動エネルギーが生まれ、その情報が結合組織によって全身に伝えられるということです。

さらに結合組織のつながりは、細胞内の核にまで及びます。そのため、伝えられた情報は体の新たな反応を生み出すきっかけになります。

また、結合組織はテンセグリティー構造をしており、そこに加わった物理的な力を吸収するという性質があります。テンセグリティー構造は、より柔軟でバランスがとれているほどより早く衝撃を吸収し、組織にダメージを与えることなく、その情報を全身に伝えます。

つまり、結合組織は情報伝達系と外力適応系の2つの役割を担っているということです

以上のように、自律神経系、内分泌系に加えて、筋膜系も情報伝達システムに含まれます。そのため、理学療法士として筋膜、結合組織に関しての知識を有していることは必須になります。