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仙腸関節は、学校において「動かない関節」と習うと思います。しかし、臨床に出るとそうではないことがわかります。仙腸関節は動くことも大切ですし、その他にも色々な役割があります。

そこで今回は、学校では習わない仙腸関節の役割について解説したいと思います。

仙腸関節と股関節は関係している

まず、股関節の屈曲を考えます。股関節の屈曲は正常では約125°曲がると言われていますが、これは実は股関節の動きだけではないのです。

股関節の屈曲角度に関して、MRIを使った研究がいくつか行われています。その研究によると純粋な股関節の屈曲角度は80°前後と言われています。そして、それ以上の屈曲は、仙腸関節と腰椎の動きにより、達成されるのです。

つまり、股関節をいわゆる正常範囲まで動かすには、仙腸関節の動きが必要になるのです。

仙腸関節は全ての動きの軸になる

身体運動の原則として「軸となる関節が運動単位として正常ならば、遠位の関節は大きく動かなくてよい」という、OS-OCの原理というものがあります。

その例として、対側肩運動(肩関節の水平内転運動)を挙げます。

一方の手で反対側の肩を触るとき、肩の水平内転、肘の屈曲、手関節の掌屈運動が必要になります。このとき、肩関節の水平内転を制限してみて下さい。目的とする動作を達成するためには、肘や手の動きを大きくする必要性が出てきます。つまり、肩の制限がない場合より、肘、手の関節に負担がかかることになります。

実はこの運動を行うとき、肩関節より中枢にある肋椎関節、椎間関節、そして仙腸関節までが動いています。中枢部の関節の動きはわずかですが、間違いなく動作の遂行には必要なものです。

そして、仙腸関節は上肢、下肢の運動の中心になると言われています。

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つまり、どのような運動を行うときでも、仙腸関節のわずかな動きが必要ということです。これは実際に、骨盤帯を圧迫し、仙腸関節の動きを制限した状態で上肢を挙上してみると実感できるかと思います。

仙腸関節には脊柱と下肢を繋ぐ役割がある

仙腸関節は、脊柱と腸骨の間に位置します。脊柱はS字弯曲をもっており、このS字弯曲により、バネのように床反力の大半を吸収していると言われています。そのため、脊柱のS字弯曲がないと、その他の足や膝、股関節などでの衝撃吸収が必要になることになります。

つまり、脊柱のS字弯曲の減少は他の関節への過剰な負担になり、痛みを誘発する要因となります。

その床反力を下肢から脊柱に繋げているのが仙腸関節になります。つまり、仙腸関節に何かしらの問題があると、脊柱へ反力が伝わらないという状態になります。そうなると、脊柱の弯曲による衝撃吸収が行われず、下肢の他の関節に負担がかかってしまいます。

この仙腸関節の問題とはさまざまで、安定性の低下、アライメント不良、可動性の低下などが挙げられます。どのような問題でも下肢から脊柱への反力の伝達は障害されます。

以上のことから、臨床でよく遭遇する仙腸関節の問題を書きます。

・仙腸関節の可動性低下による股関節の疼痛
・仙腸関節の可動性低下による四肢関節の疼痛
・仙腸関節の安定性、可動性低下による下肢関節の疼痛

ちなみに、仙腸関節は梨状筋とも大きく関与しています。仙腸関節の機能障害に伴い、梨状筋の緊張が高くなることがあります。つまり、仙腸関節の機能障害により「梨状筋症候群」、坐骨神経の症状を誘発してしまうこともあるということです。

このように仙腸関節は、身体にとって重要な関節です。身体を扱う専門家として、仙腸関節の機能を理解しておくことは必須になります。