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自然治癒力とは、生物であれば誰でも備わっているものです。そして、治療が外部から加えるものであるのに対し、治癒は内部から起こるものです。

人間の健康には、この治療と治癒の両方が必要だと考えています。

理学療法士として治療を行いますが、この治療は治癒を促すためのものであり、決して病気そのものを治すものではありません。

今回は、この治癒について述べたいと思います。

西洋医学と東洋医学

西洋の医学では、病気の外的因子を明らかにし、その因子を除去するような薬の開発が中心として行われました。その代表的な成功例が抗生物質です。この抗生物質のおかげで、細菌による感染症は劇的に減少し、さらにこの思想が強化されました。

これは言い換えると、病気のプロセスを押さえつけ、表面上に現れている症状を打ち消すという方法です。これは薬であれ、手術であれ同様です。

例えば、膝に痛みが出ていて、血液検査とレントゲン検査を行った結果、炎症反応と膝の変形が認められたとします。このような場合に、炎症を抑える薬を処方するか変形を戻すような手術を行うという選択が行われます。

一方で、東洋、とくに中国の医学では、西洋とまったく異なる思想になります。

中国の医学は、外的因子を見つけ除去するのではなく内部の抵抗力を強めることで、外部から有害な影響があっても病気にならないような身体を作るという思想になります。つまり、薬などの外的なもの(治療)に頼るのではなく、身体の治癒力を高めるという考え方です。

先ほどの膝の例で考えると、炎症反応がスムーズに沈静化するような身体作りを行う、または変形が生じた原因を探し除去した結果、変形の進行を止めるという選択が行われます。

このようにまったく異なる2つの考え方ですが、これらは場合によって使い分ける必要があります。

状況によって2つの思想を使い分けることが大切

例えば先ほどの感染症の例では、すぐにでも薬を使わないと死に至る可能性が高いため、西洋医学の思想はとても重要になります。緊急性のある外科的手術も同様です。

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つまり西洋の思想は、本当に深刻な状態に対処する医療技術として一時的に用いる場合はとても有効です。

しかし、腰痛に代表されるような慢性疾患はどうでしょうか。このような慢性疼痛に対して、抗炎症薬の効果がないことは明らかになっています。そもそも痛みという症状は、何か原因があっての結果であって、そのように表面上に現れている症状を薬などで押さえつけても何の解決にもなりません。

通常では、組織に損傷が生じると炎症反応が起こり、その反応がスムーズに進むと自然と組織は治癒します。

それが治癒せず慢性化しているということは、組織の損傷自体が問題ではなく、炎症反応、つまり治癒過程が進んでいないことが根本的な問題であると考えられます。

この治癒過程に問題が生じる原因として、「損傷部位に力が加わり続けているため、炎症反応が繰り返されている」もしくは「身体の治癒力が弱いために治癒過程が遷延化している」という2つが考えられます。

東洋医学の思想は後者であり、身体内部の治癒力を強化することでその治癒過程を促進しましょうというものです。

気づいている方もいるかもしれませんが、前者の「損傷部位に力が加わり続けている」という問題の解決は、理学療法士が得意としているところです。メカニカルストレスを減らし、いかに損傷部位に負担をかけないようにするかという考え方です。

このように、身体が深刻な状態で緊急的な処置が必要な場合は西洋的な思想、慢性的な症状では東洋的な思想といったように、状況に応じて2つの思想を使い分けることが大切です。

しかし、薬や外科的な処置を行ってもその後に必要なものは身体内部の治癒力、つまり自然治癒力ということは理解できるかと思います。そのため、どのような状況であっても身体の健康を維持するためには、自然治癒力という考え方を意識しておくことが大切です。