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理学療法士にとって、薬に関する知識は学校で習うことはほとんどありません。そして、臨床に出ても、理学療法士向けの薬の勉強会などは多くありません。

しかし、臨床で対峙する患者さんのほとんどは何らかの薬を飲んでいます。そして、その薬のいわゆる副作用というものは、理学療法士が関わる症状に少なからず関係しています。そのため、理学療法士が薬に関する知識を有していることは必須です。

また、薬剤に関して大前提として「ほとんどの薬は病気を根底から改善するためのものではなく、症状を緩和させるためのもの」ということを頭に入れておく必要があります。

多くの人は複数の薬を服用しているため、薬物の相互作用に関する知識は欠かせないものです。この相互作用による危険性は、服用している薬剤の数が多くなれば多くなる高くなる可能性があります。また、あまりにも数が多いと、何が相互に作用しているかもわからなくなってしまいます。

そして、その発生メカニズムは「薬物体内動態の変化」と「作用蕪茯での相互作用」の2つの視点が考える必要があります。

そこで今回は、そのうちの「薬物体内動態の変化」による相互作用について述べます。

薬物体内動態の変化による相互作用

薬物は体内に入ると、「吸収」「分布」「代謝」「排泄」という4段階があり、それぞれの過程で相互作用を受ける可能性があります。

吸収

例えば静脈注射の場合、薬は循環系を介して作用部位に達しますが、経口投与の場合は、到達前に消化管から吸収されます。つまり、経口摂取の薬剤は、吸収という過程で相互作用を受けやすい薬剤と言えます。

具体的には、「抗菌薬」と「制酸剤」などはその代表例です。これらは相互に作用することで、消化管からの吸収が妨げられ、抗菌薬の効果が低下します。このように、胃のpHが変化することで吸収に影響が出る薬は数多くあります。胃のpHが変化し、薬がイオン型になると吸収が低下し、逆に非イオン型になると吸収されやすくなるものが多いです。

また、消化管の働きが変化することでも吸収に差が出ます。

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分布

薬は、血液中にあるアルブミンと呼ばれるタンパク質と結びつく性質があります。そしてこのアルブミンと結合してしまった作用部位に到達しません。つまり、タンパク質と結合していない「非遊離型」の薬が効果を発揮します。

それぞれの薬によって、タンパク質と結びつく強さや性質は異なります。そして、その強さや性質が薬の相互作用によって影響を受けます。

例えば、単独の使用であれば10個中7個がタンパク質と結合し、残りの3つが遊離型として効果を発揮している薬があります。それが、他の薬剤と併用することで遊離型が4個になるということが起こります。そうなると、その作用は単独で使用していたときよりも強くなるということです。このような相互作用は「タンパク結合率によるもの」と呼ばれます。

しかし、実際にはこのような相互作用の影響はあまりないと考えられています。

代謝

薬物の相互作用で最も影響を受けるのが、この代謝によるものです。代謝に関しては、代謝が促進される場合と、阻害される場合の2つがあり、そのどちらも問題になります。

例えば代謝が促進されると、薬の血中濃度は低くなり、その作用が発揮しにくくなります。一方で、代謝が阻害されると、血中濃度が高くなり、その薬の効果が発揮されやすくなるのですが、副作用も出やすくなるという欠点もあります。これは、薬の代謝に関する酵素である「シトクロムP450」が影響しています。

このシトクロムP450にはいくつかのタイプがあり、その薬がどのタイプのシトクロムP450で代謝されるかがポイントになります。

排泄

薬の排泄では、主に腎臓での相互作用の影響が生じます。水溶性が高くタンパク結合率の低い薬は、腎糸球体でろ過されます。また、極端な酸性やアルカリ性の薬も、尿細管中に分泌されて除去されます。

そのためこの両者が同時に存在すると、競り合いとなり分泌障害が起こります。

以上のように、薬はさまざまな過程で相互作用を起こす可能性があります。理学療法士としては、このようなことを理解した上で、運動などを実施しなければ、その運動が薬の相互作用を強めてしまうということにもなりかねないので注意が必要です。