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学生のとき、坐骨神経の重要性は学びますが、その末端の神経はあまり詳しく習いません。しかし、臨床においては、その末端である「総腓骨神経」は、さまざまな症状の原因になっていることがよくあります。

そこで今回は、総腓骨神経について述べます。

坐骨神経の解剖

坐骨神経は、腰神経叢のうちのL4、5腰神経と、仙骨のS1~3神経により構成されます。梨状筋の前方を通過後、大坐骨孔を通り骨盤外に出ます。そして、大腿後面を通り、下腿に向かいます。多くの場合は大腿後面において、「総腓骨神経」と「脛骨神経」の2つに分かれます。

総腓骨神経は、膝窩部で浅腓骨神経と深腓骨神経に分かれ、足関節から足趾まで伸びます。一方、脛骨神経は、膝窩部で内側腓腹皮神経を分岐した後、下腿後面を走行し、足底で内外側足底神経に分かれます。

総腓骨神経は腓骨頭を包み込む

総腓骨神経は、膝窩部を通過後、腓骨頭を後外側から前方にかけて包み込みます。この神経の走行はとても重要になります。実は、この腓骨頭を包み込む部位で、総腓骨神経が腓骨頭によって圧迫されてしてしまうことがあります。

臨床において、総腓骨神経の痛みは、「膝外側の痛み」として訴えられます。大半の患者さんは、総腓骨神経の症状を膝の痛みと考えてしまいます。実は、医者もこの痛みを膝の問題として捉えていることが多いです。

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総腓骨神経の症状は、坐骨神経を伸張することにより再現できます。また、坐骨神経を伸張するとき「膝関節伸展位を維持した状態で股関節屈曲角度を強めていく」場合と、「股関節屈曲位を維持した状態から膝関節の伸展角度を強めていく」場合で、神経の緊張が強くなる部位が変わります。

前者は坐骨神経、後者は総腓骨神経の緊張を高めます。つまり、総腓骨神経の症状を再現する場合は、後者の方法で再現できます。

以上のことから、「総腓骨神経」に由来した症状として以下のようなときに痛みがでるという特徴が挙げられます。

・階段を昇るとき(膝の伸展動作時)
・立ち上がるとき(膝の伸展動作時)
・体重を外側にかけたとき(膝の内反ストレスが強くなったとき)

腓骨頭の位置が重要

総腓骨神経の走行から、腓骨頭の位置が重要なことがわかります。神経は腓骨頭の後外側を通っているため、腓骨頭が後方、外方に変位していると総腓骨神経を圧迫してしまいます。臨床的には、ハムストリングスのスパズムが、腓骨頭の後外方変位の原因となっていることが多いと感じています。他にも、内反変形によるラテラルスラストも外側変位の要因の一つです。

以上のように、総腓骨神経の症状は膝外側の痛みとして認識されることが多いです。膝関節に由来した痛みか、総腓骨神経に由来した症状かを鑑別することが重要になります。