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理学療法の臨床において、鼠径部痛のみを訴える患者さんは少ないです。多くは腰部、仙腸関節などに問題があり、二次的に鼠径部痛を訴えます。筋骨格系の原因としては、内転筋、内腹斜筋などの筋性の問題、恥骨痛、外傷、鼡径ヘルニア、股関節の病的状態、疲労骨折などが挙げられます。

また鼡径部痛は、筋骨格系以外のさまざまな疾患によっても生じる可能性があります。

そこで今回は、全身性疾患によって引き起こされる鼡径部痛について解説します。

鼡径部痛を引き起こす原因

全身性の原因としては、脊髄腫瘍、尿感痛、腹水、消化管出血、腹部大動脈瘤が挙げられます。
以下にその特徴を示します。

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脊髄腫瘍 ・胸腰部のベルト様分布の不快感
・持続性か間欠性
・同側鼠径部痛
・同側下肢(神経根損傷に伴う)
尿管痛 ・側腹部~下腹部1/4に放散痛
・反跳痛を伴う腹筋スパズム(腹膜の炎症)
・腹部全体の痛み
・吐き気、嘔吐、腸運動の障害
腹水 ・腰部、鼠径部痛
・肝臓疾患、アルコール中毒に好発
・腹部の膨満
・腹部ヘルニア
・足部の両側性浮腫
消化管出血 ・腸腰筋のスパズム
・下血、吐血、発熱
腹部大動脈瘤 ・無症候性
・腹部の拍動性の塊

鼠径部痛を引き起こす全身性疾患は、股関節や仙腸関節へのストレスで疼痛が悪化しないことが多いです。そのため、検査中に症状の変化が見られるかも、鑑別の鍵となります。