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側頭筋はよく知られた筋ですが、臨床における考察や治療に上手く取り入れている人は少ないのではないでしょうか。しかし、側頭筋は臨床上とても大切な筋であり、多くの患者さんの訴えの原因になっています。

そのため、理学療法士をはじめとしたセラピストは、側頭筋について学ばなければいけません。

そこで今回は、この側頭筋に関して、基本的な解剖から臨床への応用方法までについて解説します。

側頭筋の解剖

側頭筋はその名の通り、側頭部に位置する筋です。側頭窩と側頭筋膜から起始し、頬骨弓の下を通り、下顎骨の筋突起と下顎枝前縁の大臼歯の部分に付着します。また側頭筋は、垂直に走行する前方の繊維と、水平方向に走る後方の繊維からなり、この2つの繊維が下方で停止腱を作り下顎に付きます。

そして側頭筋は、三叉神経の第三枝の枝である深側頭神経によって支配されています。この神経は、側頭下窩で起こり側頭窩に入ります。

また側頭筋の栄養血管は、深側頭動脈と中側頭動脈の2つです。前者は同名神経に伴行し、後者は頬骨弓の後端で側頭筋膜を貫き側頭筋に入ります

側頭筋を栄養する深側頭動脈は、外頸動脈からの枝である顎動脈から分かれた後、同名神経と側頭筋の深層に入り込みます。一方、中側頭動脈は外頸動脈から直接分岐し、頬骨弓の高さから側頭筋の下に侵入します。

側頭筋の臨床応用

側頭筋の主な作用は下顎骨の挙上です。つまり、歯を噛みしめる動作です。そして、その強さは身体にある筋肉の中で最も強く、男性で約60キロの力が発揮されるといわれています。しかし、それゆえの弊害もあります。

例えば、人は重い物をもつなど力が入る時は、側頭筋を収縮させることによって歯を噛みしめます。また、重い物をもつときだけでなく、集中したり、ストレスを受けると、側頭筋の緊張はさらに強くなります。つまり、このような状況に陥ると、側頭筋の過緊張が起こります。

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そして既に述べたように、側頭筋の栄養血管は側頭筋の深層に入ります。そのため、側頭筋の過緊張が生じると、その筋の緊張自体でのエネルギー不足による疼痛が生じるだけでなく、血液供給にも障害が出ます

血液供給が障害されるということは、さらなるエネルギー不足を引き起こします。また、そこには同名静脈もあるため老廃物の排泄も障害されます。

こうした筋の過緊張やそれに伴う血管系の障害は、頭痛という訴えとして現れます

つまり、側頭筋の過緊張は頭痛を引き起こします。また、側頭筋に由来した頭痛の特徴として、以下のようなものが挙げられます。

・睡眠不足、ストレスなどで悪化する
・長時間の座位作業で悪化する
・横になると楽になる
・寝起きに痛みがある
・側頭部に明らかな圧痛がある

側頭筋に由来したずつは、横になると重力の影響が少なくなるため、基本的に楽になります。しかし、寝起きは痛みが強いことが多いです。

それは、側頭筋の過緊張が寝ているときに強くなっていることが原因です。ストレスや睡眠不足によるものも含め、普段から歯を噛みしめる癖のある人は、夜寝ているとき無意識に歯を噛みしめてしまいます。これが、いわゆる「歯ぎしり」といわれるものになります。

そのため、側頭筋の過緊張に由来する頭痛をもっている人は、朝起きたときに疼痛が強くなっていることが多いです。

以上のように、側頭筋は理学療法士がよく遭遇する頭痛の一要因になります。そして、側頭筋が過緊張になる原因は理学療法士で対応できることが多いです。

そのため、理学療法士としてこのような知識を有していることは必須になります。