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臨床において、足が重い、腰が伸びにくいという訴えは多いのではないでしょうか。これに対しての処方の多くは、体幹、下肢の筋力強化です。

しかし、多くの人はこの運動療法で症状が改善することはありません。それは実は原因が別にあるからです。

今回は、このような症状を引き起こす「横紋筋融解症」について解説します。

横紋筋融解症

横紋筋融解症とは、骨格筋の細胞が壊死や融解することにより、筋細胞成分が血中に流出します。その結果、筋肉痛や脱力感が生じる疾患です。それに伴い、筋から大量のミオグロビンが流出します。その結果として、尿細管が障害され慢性腎不全が生じたり、呼吸筋が障害され呼吸困難になったりします。

また、重度になると多臓器不全を併発し、死につながることもあります。症状としては、手足や腰の痛み、脱力感などの筋の症状が主で、全身倦怠感や赤褐色尿なども認められます。

実は、痛みはないが腰が伸びにくいという患者さんは、この横紋筋融解症が原因の場合があるのです。そして、そのような人は、腰が伸びにくくなる前に下肢の怠さなどの症状を訴えることが多いです。

抗コレステロール製剤と横紋筋融解症の関係

横紋筋融解症の原因としては、外傷や脱水によるものがよく知られています。しかし、理学療法士として注意しなくてはいけないのは、薬の副作用でこの疾患が起こるということです。その薬は、「スタチン系製剤」とよばれる抗コレステロール薬です。

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これは脂質低下作用に加えて、動脈硬化、血管内皮機能の改善、酸化ストレス抑制など多くのメリットがある薬として知られています。一方、この薬の重篤な副作用として横紋筋融解症があるのです。

そのメカニズムは未だにはっきりしていませんが、一番有力な仮説はコエンザイムQ10との関係性です。

コエンザイムQ10は脂質や糖質をエネルギーに変えるのを補助します。つまり、エネルギー産生に大きく関係しています。そして、コエンザイムQ10とコレステロールは、体内での合成経路が途中まで同じなのです。そのため、スタチン系製剤によってコレステロールの合成だけでなく、コエンザイムQ10の合成も抑制されてしまうということです。

このようなメカニズムから、全身の倦怠感や筋細胞の破壊などが起こるということです。

その他にも、コレステロールの低下作用そのものが、細胞膜のコレステロール含有量を低下させ、細胞破壊につながるという説もあります。

以上のことから、横紋筋融解症に対して、理学療法士が行えることはあまりありません。しかし、そのメカニズムを考えると青魚や肉類など、コエンザイムQ10を多く含む食品や、サプリメントなどを摂取するという可能性も考えることができます。

この病気は早期発見早期治療が大切です。問診や身体検査にて、この疾患が疑われた場合は、早急にドクターに知らせるようにして下さい。