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薬も食べ物と一緒で、体の中に取り込まれたあと、吸収し、全身に運ばれ、各部位で代謝され、余分な分は排泄されます。その動きをとらえたものを薬物体内動態学といいます。これは、薬学を学ぶ基礎になります。

今回は、この薬物体内動態学について、簡単に解説します。

吸収(生体利用率)

薬は静脈内に投与されると、吸収は100%保証されます。しかし、薬の吸収パターンは経口吸収、経皮吸収、直腸内投与、経鼻吸収、口腔粘膜吸収、経肺吸収、目粘膜吸収などさまざまです。それぞれに特徴があり、その吸収率は異なります。

経口吸収

経口吸収の場合、小腸で吸収され、肝臓を通過し、全身循環に入ります。その過程で、胃や小腸にある消化酵素の影響、消化管壁からの吸収、肝臓での代謝(初回通過効果)など多くの影響を受けます。

消化酵素の影響を受けにくい薬、脂溶性で分子量が小さい(500以下)薬、逆に高分子でリンパ系から血中に入り肝臓を通過しない薬などは、経口摂取でも血中への吸収率が高いものとなります。

また、生体にとって異物である薬剤は、P糖タンパク質を代表とする輸送担体により吸収を妨げられます。P糖タンパク質は、薬自身との相互作用や、食品や嗜好品と薬の併用で、さまざまな相互作用を引き起こします。グレープフルーツジュースはその代表例です。

注射による投与

動静脈注射は前述の通り、100%吸収されます。皮内、皮下、筋肉注射は部位により異なります。皮内や筋肉の血管壁は比較的薬が吸収されやすい構造になっています。また、組織の血流が速いほど、吸収も速くなると考えられています。

直腸内投与

直腸は、小腸と比較して面積が小さいため、薬の吸収部位としては適しているとはいえません。しかし、直腸下部の血管は門脈につながっておらず、初回通過効果を受けません。そのため、初回通過効果を受けやすい薬の投与経路として適しているとされます。

また、経口吸収と比較し、消化酵素の影響を受けにくく、確実に投与部位から吸収されることも直腸内投与の利点です。

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経皮吸収

経皮吸収は、経口吸収などと比較して、筋肉内への吸収がより高い、全身循環血中へ移行するなどの特徴があります。また、速効性は期待できませんが、経口摂取が困難な人にも適用しやすく、初回通過効果も受けないため、薬効発現が持続します。しかし、かぶれや皮膚損傷部位などには注意が必要です。

経鼻吸収

経鼻吸収は、局所作用だけでなく、全身作用も発現します。また、初回通過効果も受けません

口腔粘膜吸収

口腔粘膜吸収の特徴も、初回通過効果を受けないということです。これも、全身循環へ移行し、全身に作用します。

経肺吸収

肺は、消化管では吸収されないような高分子物質も透過性を有することから、高分子物質の吸収に優れています。経肺吸収も初回通過効果を受けません。

分布

循環への吸収後、その薬と親和性の高い組織に高濃度に集まるケースが多いようです。

薬は一般的に、血漿タンパクや脂肪組織、結合組織、骨などに蓄えられる性質をもっています。特に、血漿タンパクと結合すると、血管から組織への移行が難しくなります。つまり、タンパクと結合していない薬(遊離型の薬)が組織に移行し、薬効を発揮します

そのため、「アルブミンを含むタンパク質濃度が低い」、「他の薬を併用しているため結合するタンパク質が少なくなっている」などの状態では、遊離型が増えるので効果が強く現れます。

 代謝

薬の代謝とは、分子構造を変化させ、活性を弱めると同時に、水に対する溶解度を増加させ、体外に排泄しやすい物質にするような変化のことを指します。代謝の中心は肝臓で、薬物代謝酵素のチトクロームP450が主役になります。

そして、薬の代謝には酸化、還元、加水分解、抱合の4つがあります。

排泄

生体内に入った薬は、そのままのかたちか、代謝されたかたちで腎臓、胆道、肺、皮膚などから排泄されます。

以上のように、薬は吸収の方法により、その特徴が異なります。理学療法士として、吸収方法の違いにより、どのような特徴があるかは、最低限知っておきたい知識だと思います。