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恥骨周囲の痛みは、若いスポーツ選手によく見られます。とくにサッカー選手など、股関節の内転と回旋筋群を使って強くボールを蹴ることが多いです。いわゆるインサイドキックは、恥骨結合に過度なせん断ストレスを加えるため、繰り返すと恥骨結合炎を引き起こします。

今回は、この恥骨結合炎について解説します。

恥骨結合炎を引き起こす要因

恥骨結合炎に関係する要因は、大きく3つあります。それは「筋の過収縮」「若年者」「股関節運動制限」です。多くの場合は、これらの3つが相互に関連することによって恥骨炎を引き起こします。

恥骨結合部には、下方には内転筋群が、上方には腹直筋が付着します。内転筋群の過剰な収縮は同側の恥骨を下方に引き、腹直筋の過収縮は同側の恥骨を上方に引くことによって、恥骨結合にせん断ストレスを加えます。

そのため、筋のアンバランスが問題になるのはもちろんのこと、過度なトレーニング、整備されていない練習場、気温低下、不十分なウォームアップはこれらを強める要因になります。

また、恥骨結合の成熟は30代で完成するといわれているため、10代や20代の若年者はまだ、未熟な関節であるため、問題を起こしやすいとされています。

そして、股関節の可動域制限は多くの人に認められる原因になります。下肢の動きは恥骨結合、仙腸関節といった骨盤帯の関節と腰椎、股関節が協調して動くことによって達成されます。そのため、股関節に可動域制限が認められると、恥骨結合に過剰な動きが求められます。

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恥骨結合炎の臨床所見

恥骨結合炎の症状は、恥骨結合周囲の鈍痛や軽い深部痛から始まり、徐々に鼡径部や下腹部に広がります。腹筋群や内転筋群の複合した圧痛が恥骨結合損傷の特徴的な症状です。さらに症状が重篤な場合は、クリック音感じ、不安定性を訴える場合があります。

症状は股関節の自他動での外転・外旋運動や、内外転運動を繰り返すことによって増悪します。また、腹直筋の付着部の関係から、体幹の屈曲動作でも症状を増悪させます。これは、隣接関節の過剰な運動や、腹直筋と内転筋の収縮によって恥骨結合にせん断ストレスが加わり疼痛が増悪するということです。

サッカーのインサイドキックは、過剰な筋収縮、隣接関節の過剰な運動を誘発しやすいため、症状悪化の大きな原因になります。

臨床では、①前腹筋群腱膜の弛緩②背臥位での下肢挙上抵抗運動時の疼痛③鼠径管の圧痛が認められた場合、恥骨結合炎である可能性が高くなります。

以上のように、恥骨結合は恥骨に付着する腹直筋、内転筋群の過緊張や、隣接関節の可動域制限によって、過剰なせん断力が加わることで炎症を起こします。その症状は股関節周囲にまで広がり、股関節の動きによっても誘発されるため、股関節由来の疼痛との鑑別が重要になります。