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理学療法士は主に徒手療法と運動療法を行ないます。そしてこの2つとも、身体にさまざまな作用があり、その作用によって身体に変化が現れます。そして、ほとんどの徒手療法、運動療法は自律神経系に影響します。

今回はその中でも、徒手療法が自律神経系に与える影響について述べます。

脊柱に対する徒手療法

脊柱、特に胸腰髄には交感神経節があり、その自律神経系との関係は多くいわれています。また、副交感神経系の細胞体は脳幹と仙髄にあり、骨盤帯との関係性があります。

具体的な研究では、「仙腸関節、胸椎椎間関節、肋椎関節に対して10分間の徒手療法を行うと、副交感神経系の指標であるHFが有意に上昇した」といった報告や、「麻酔下のラットの下位胸椎、上位腰椎の外側に軽度(0.5~3㎏)の圧迫刺激を与えると血圧、腎臓神経活動の持続的な減少を誘発した」などの報告があります。

これらは、脊柱や骨盤帯への介入によって、交感神経系の緊張を抑える、もしくは副交感神経系の活性化を図ることができる可能性を示唆しています

軟部組織に対する徒手療法

マッサージを中心とした、軟部組織に対する徒手療法の自律神経系に対する効果は多くの研究がなされています。その多くは交感神経系の緊張が緩和したとの報告であり、そのメカニズムはさまざまです。

代表的なメカニズムは、血液循環の改善オキシトシン分泌による交感神経系の緊張の抑制があります。

他にも、軽いタッチによる触覚C繊維の活性化などもありますが、どのようなメカニズムにしても、副交感神経系を活性化させるような報告がほとんどです。

内臓に対する徒手療法

理学療法士でも、内臓に対する治療を行う人はいます。具体的な研究が行なわれているかはわかりませんが、この内臓への治療も自律神経系に影響すると考えられます。

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内臓は自律神経系によって調整されており、その関係性は一方的なものでなく、相互に影響しています。そのため、自律神経系に問題が生じても内臓に影響を及ぼし、内臓に問題が生じても自律神経系に影響を及ぼします。

つまり、内臓の機能を高めるような治療は、自律神経系へも良い影響を与える可能性があるということです。

頭蓋骨に対する徒手療法

頭蓋骨への徒手療法も副交感神経系を活性化させる印象です。これに関しても具体的な研究がおこなわれているかはわかりません。しかし、臨床ではこの効果は実感しています。

具体的には、頭蓋への治療を行っているときは、不眠を訴える患者さんでも眠られることが多いです。眠るということは副交感神経系が優位になっている可能性が高いと考えられます。

また、頭蓋への治療を行った後は、全身の筋緊張が緩和していることが多いです。筋の緊張は交感神経系の過緊張によって起こります。それが改善しているということは、これも副交感神経系が優位になった可能性が高いと考えられます。

そのことに対して、考えられるメカニズムとしては大きく2つあります。

一つ目は、副交感神経系の中枢が脳幹にあるということです。頭蓋仙骨系の機能が改善することによって、脳幹に何らかの影響を及ぼしている可能性が考えられます。

二つ目は、脊髄硬膜のレセプターの影響です。脊髄硬膜には脳脊髄液を監視するレセプターがあります。そのレセプターに何かしらの異常が生じると、自律神経反応が惹き起こされます。そして、そのレセプターがある硬膜は頭蓋仙骨系の一部であるため、頭蓋骨への治療にて頭蓋仙骨系が改善すると、レセプターの反応が正常化すると考えられます。

以上のように、徒手療法はもちろん技術にもよりますが、副交感神経系を優位な状態にするのに大きく役立ちます。このようなメカニズムを意識して徒手療法を行うと、またその効果が上がるはずです。