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東洋医学というと「エビデンスがない」「ただの経験論だ」などと批判的な意見をいう人が多いです。最近は、リハビリ関連の講習会でも東洋医学の考え方であるツボや経絡などを用いたものも多くあり、馴染みやすくはなっているのではないでしょうか。

今回は、私個人の東洋医学に対する考え方を述べます。

東洋医学とは

東洋医学は、体が本来持っている自然治癒力を引き出すことによって、病気の予防や改善を目指す伝統医学です。中国医学のことだけを指す場合と、インド医学やチベット医学などを含め、アジアで誕生した伝統医学全般を指す場合があります。多くの場合、東洋医学というと中国医学と同じ意味で使われています。

ちなみに私は、推拿(すいな)とよばれる中国医学の三大療法(漢方、鍼灸)のうちの一つを数十年臨床で行われている方に、中国医学を習いました。

このように中国医学の治療法には、漢方や推拿、鍼灸などの手技療法があります。そしてさらに、食事による治療である薬膳などを日常生活で取り入れるような養生法もあります。

手技療法で出ている症状に対して治療を行うことはもちろんですが、根本的にはその人の体質を改善し、自然治癒力を引き出すことによって病気になりにくい体づくりを行うことに重点が置かれます。

つまり、まずは養生法を取り入れることによって、未病とよばれる状態のうちに治療することが一番の治療ということです。

今は経絡やつぼなどが流行っており、その根本を忘れられがちです。しかし、基本は中国医学の概念に従って生活習慣を整えることにその根本があります。

東洋医学の概念は科学では否定できていない

経絡などの東洋医学の概念は、現代科学ではまだ証明しきれていません。しかし、逆に否定もできていません。

私の考え方の一つに「否定できないものは、選択肢として残しておく」というものがあります。そのため、東洋医学の概念も臨床中の選択肢としてあります。

また、東洋医学は観察を中心とした経験的なものから作られました。このことは否定的な意見の一つとなりがちですが、自然科学も始めは観察から始まります。そして、疑問、仮説が生まれ、実験によって検証します。
その過程で、統計を使って数量データの特性を調べたかどうかの違いです。

東洋医学はどちらかというと、体の反応をそのまま素直に捉え、それを根拠にしているので、どちらかというと実践的なのではないでしょうか。

以上のような理由からも私は、治療概念の中心ではありませんが、東洋医学の概念を取り入れています。

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未病という考え方

東洋医学には、未病という考え方があります。西洋医学では、レントゲンや血液検査などの検査で異常が出た場合に初めて病気と判断され、治療を行います。

一方、東洋医学では、検査では異常はないが「何となく体の調子が悪い」といったような、まだ病気とはいえない状態も治療の対象とします。

このような状態のことを未病といい、東洋医学では未病を発見し、この状態のときに治療し、治すことを理想としています。

これは、理学療法の世界でも同様に考えることができます。例えば、腰痛で理学療法を受けている人がいるとします。この人は、膝痛はありませんが、実際確認すると膝の筋力が異常に落ちています。

この状態で生活していると、いずれは膝痛が出現することが予測されます。このような状態が未病であり、この段階で膝の筋力をつけるなどの治療を行うと、将来起こりうるであろう膝痛を防ぐことができるということです。

もちろんこの段階で治療した方が、実際には病気の発症もありませんし、発症してから治療するより断然効率的です。このように、東洋医学では、まだ表面化していない状態から治療を行うことが大切と考えられています。

私も、このように未病を発見し、治療することが理想であると考えます。

自然治癒力

私は自然治癒力という考え方を重要視していますが、東洋医学でもこの自然治癒力の考え方を重視しています。

西洋医学の治療では、検査結果の異常から、その異常に対して直接的に改善作用のある薬を投与することによってその症状を押さえこみます。一方、東洋医学では、薬はあくまで自然治癒力を引き出すためのものと考えます。薬によって自然治癒力が高まった結果、病気が治るという考え方です。

この二つは、薬の目的が全く違いますが、お互いに良し悪しがあります。

例えば、東洋医学の薬は作用が間接的であることが多いため、その効果が発揮されるまで時間がかかります。そのため、低血糖など急激に現状を変えなければいけない場合などは、速効性がある西洋医学の薬が適しています。一方、慢性疼痛や浮腫みなど、症状が慢性化している場合は東洋医学の薬が適している場合が多いです。

以上のように、西洋医学と東洋医学は治療に対する根本的な考え方が違います。しかし、先ほど述べたように、どちらか一方の考え方に固執するのではなく、状況に応じて適した治療法を選択することが大切です。

こうしたことからも、理学療法士も東洋医学の考え方を知っておく必要があると考えます。