スポンサーリンク

脊柱機能の重要性は誰もが知ってのとおりだと思います。理学療法を行う上で、徒手療法、運動療法ともに脊柱への介入を行う人は多いです。椎間関節は脊柱の中でも、運動の中心になります。椎間関節に問題が生じると、椎間板にも負担がかかり、逆に椎間板に変性などの問題が生じると、椎間関節に負担がかかるというように相互に影響しています。

今回は、かなり基礎的な内容ですがこの椎間関節の機能解剖について解説します。

椎間関節の構造

椎間関節は滑膜性関節に分類されます。各椎骨の下関節突起が直下の椎骨の上関節突起と噛み合って関節を構成しています。各椎間関節はほぼ完全に適合しているため、椎間関節全体での前後方向へのズレや、腰椎での下位椎骨上で上位椎骨が軸回旋するのを阻止しています。椎間関節の関節包は強靱で、感覚神経が豊富に分布し、血管も発達しています。

また、関節内には半月板という関節内のひだがあり、これは疼痛感度が高い繊維脂肪性の組織からなります。この組織が関節に挟まれた状態が「ぎっくり腰」の病態であるとされています。さらに、関節包の内側は滑膜に覆われており、これも椎間関節に挟まれる可能性があります。

このひだと滑膜は、椎間板の変性によって椎間板の高さが低くなると、椎間関節に挟まれる可能性が高くなります。

椎間関節は脊髄神経の後内側枝で支配されています。この神経分布パターンは、椎間関節包と同レベルの神経、および一つ上の神経に支配されています。つまり、あるレベルから出た神経は、同レベルの椎間関節の下方の関節包と、一つ下の椎間関節の上方の関節包を支配しているということです。

また、この椎間関節を支配している後内側枝は、多裂筋も支配しており、椎間関節の機能障害は、多裂筋に何らかの影響を及ぼすことが予測されます。

このように、複数のレベルの神経から支配されているため、椎間関節に由来する疼痛はさまざまな臨床症状を呈します。

椎間板との関係性

椎間板と椎間関節は相互に関係しています。この二つは脊椎間の荷重を分散しており、腰椎でいうと伸展位では椎間関節、屈曲位では椎間板が主に荷重機能を担います。そのため、長時間の腰椎屈曲姿勢は椎間板の過剰な負担になります。また、椎間板は加齢だけでなく、喫煙や振動によって中心部になる髄核の変性が促されます。

スポンサーリンク

このように、椎間板は持続的な圧迫ストレスを受けると、変性が生じ、その高さの減少や荷重伝達に変化が生じます。その結果、運動の中心軸が後方に移動し、後部にある椎間関節により多くの軸圧がかかるようになります。

つまり、椎間板の変性は椎間関節の負担を増やすということです。

臨床的にも、腰痛患者さんは、椎間板の変性から生じていることが疑われるケースが多く、その後に椎間関節に何らかの変化が及んでいると考えられます。そのため、腰痛予防には、先ほど述べたような長時間の屈曲姿勢や喫煙、振動刺激を避けることが大切になります。

椎間関節の病理的変化

椎間関節への負担が持続すると、その影響はまず滑膜炎という形で現れます。その後、骨棘の過剰増殖が起こります。この骨棘形成によって、椎間孔が狭小化すると、そこを通る神経に障害が起こる可能性があります。

また、この骨棘形成は関節の適応反応であり、関節の適合性が失われた結果起こっていると考えられます。その原因として、先ほど述べた椎間板の変性による影響が一番大きいと考えています。

椎間板由来と椎間関節由来の症状の違いを以下に示します。

椎間板 椎間関節
中腰での疼痛
長時間座位での疼痛
同一姿勢保持後の動作開始時痛
起床時の動作開始時痛
柔く低いソファーに座ると痛い
動いていると疼痛が軽減する
咳、くしゃみなど腹圧を上げる動作で悪化する
腰を反った時の痛み
長時間立位、歩行での痛み
動いていると疼痛が悪化する
進行すると咳、くしゃみなどでもわずかに関節が動くため疼痛が悪化する

椎間関節にはこのような特徴があります。脊椎に由来した症状は、その構造ゆえに原因の特定が難しいです。しかし、丁寧に鑑別していく事で、ある程度までは鑑別することが可能です。

以上のような特徴を頭に入れ、臨床に臨むとまた違った見方ができるのではないかと思います。