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肩の屈曲時痛を主訴として来院されるクライアントは多いです。そのようなクライアントの多くは「肩関節周囲炎」「腱板断裂」などの診断名で理学療法の処方をされます。

今回は肩の屈曲時痛に関して、考えられる原因を解説します。

まずはどの角度で痛いのか

挙上時痛といっても「挙げ始めが痛い」「挙げる途中が痛い」「最後まで上げると痛い」など訴えはさまざまです。痛みがどの肢位で出現するかは、症状の原因を考えるために、とても大切です。

その中でも訴えが多い「挙上開始時の痛み」について説明します。

挙上開始時痛

挙上の初期動作で強い痛みを訴える人がいます。このようなケースでは自動運動での訴えがほとんどです。この訴えの原因としては「筋損傷」「関節内の炎症」が考えられます。

筋損傷がある場合、自動運動を行うことにより、疼痛が出現することは想像に難しくないと思います。この場合は組織修復段階に合わせて、治療を進めていきます。

関節内の炎症がある場合は、関節内圧が大きく影響します。通常では、関節内圧は動きに応じて調整されます。
例えば、肩であれば、下制時は骨頭を引きつける必要があるため、陰圧になっています。挙上位になると、関節包や靱帯の緊張により陽圧になります。

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炎症が起こると、関節内に滑膜増殖と関節液の貯留が生じ、関節内圧が上昇した状態になります。加えて、関節運動が加わると急な内圧の上昇が生じて疼痛を生じるのです。

このようなケースでは、炎症の鎮静化が最優先です。炎症の鎮静化において、急性期には血管反応の調整が重要です。二次的低酸素症の防止、不動・リンパ障害による循環不全(疼痛誘発物質の局所への停滞の防止)の防止を行うことが、理学療法の目的となります。具体的にはクライオキネティックス、リンパケアを行います。

また、関節拘縮でも関節内圧が上昇しますが、この場合は、拘縮の改善が必須です。

以上のように、屈曲初期動作時痛を訴える人は、運動機能の問題の前に組織損傷の問題が大きいケースが多いです。つまり、組織の修復段階に応じた対応が必要です。

急性期は、組織の治癒を促すために「安静」「クライオキネティックス」「リンパケア」が大切です。急性炎症が落ち着いてきた段階で、組織の修復を促すため、循環を促す治療が必要になります。この段階では「温熱刺激」「関節運動」を積極的に促すことが大切になってきます。

関節内圧の問題は、肩関節だけでなく、他の関節にも同様のことがいえます。周囲組織の緊張に伴わない痛みは、関節内圧の影響を検討することも必要になります。