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理学療法士にとって、薬に関する知識は学校で習うことはほとんどありません。そして、臨床に出ても、理学療法士向けの薬の勉強会などは多くありません。

しかし、臨床で対峙する患者さんのほとんどは何らかの薬を飲んでいます。そして、その薬のいわゆる副作用というものは、理学療法士が関わる症状に少なからず関係しています。そのため、理学療法士が薬に関する知識を有していることは必須です。

また、薬剤に関して大前提として「ほとんどの薬は病気を根底から改善するためのものではなく、症状を緩和させるためのもの」ということを頭に入れておく必要があります。

そこで今回は、薬の作用原理について述べます。

薬理作用

薬理作用とは、薬が体に及ぼす作用のことをいいます。そして作用は、その見方によって以下のように分類されます。

選択作用と一般作用

ある特定の組織または臓器や機能に対して、強くその作用を示すものを選択作用といいます。例としては、心不全の治療薬として知られる「ジゴキシン」などがそれに当たります。それに対して、どの組織にも広く作用するようなものを一般作用といいます。

一般作用の代表的なものとしては、鎮痛作用があるNSAIDsが挙げられます。

局所作用と全身作用

薬が投与部位のみに限定して作用を示すものを局所作用、循環系を介して全身に運ばれ全身性に起こる作用を全身作用といいます。

興奮作用と抑制作用

ある臓器の機能や身体における反応が促進するものを興奮作用、逆に低下させるものを抑制作用といいます。

直接作用と間接作用

薬が作用させたい臓器に直接的に変化を起こさせるものを直接作用といいます。一方、直接作用を経て二次的または間接的に現れる作用は間接作用と呼ばれます。

急性作用と慢性作用

投与後すぐに効果が現れるものを急性作用、続けて投与することで現れるものを慢性作用といいます。

主作用と副作用

薬は、一つの薬でも複数の作用を持ち合わせていることがほとんどです。そのような中で、治療上応用できる最も大きな作用を主作用といい、逆に治療上出てほしくない作用や好ましくない作用を副作用といいます。

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作用機序

薬が体に反応を起こす方法は大きく分けて4つあります。それは、「細胞に働きかけるもの」「酵素に働きかけるもの」「代謝に働きかけるもの」「物理・化学的に働きかけるもの」の4つです。

細胞に働きかけるもの

人の細胞には細胞膜があり、その膜には細胞孔という小さな穴が開いています。この穴は、水に溶けやすい小分子を通過させるという特徴があります。また、担体と呼ばれるものを使って細胞の中に化学物質を入れる部位もあります。

そして、細胞膜は細胞全体の活動を調整する役割があるため、薬によってその膜の透過性を変えることで何らかの作用が期待できるということです。このようなものでは、受容体に作用する薬が多く、代表的なものに「β遮断薬」があります。

また、細胞内にある核やミトコンドリア、ゴルジ体などの細胞内成分に働きかけることで、機能を変えるものもあります。その代表的なものに、「抗生物質」があります。

酵素に働きかけるもの

体の中ではさまざまな反応が起こっています。酵素は、そのような反応のスピードを上げているものになります。そのため、酵素に働きかけることで反応のスピードが変わり、結果的に身体に何らかの効果を生み出すという薬もあります。

その代表的なものに高血圧に対する薬である「ACE阻害薬」が挙げられます。

代謝に働きかけるもの

代謝に関わる物質の働きを妨げることで、その作用を発揮させないようにする薬もあります。これは代謝拮抗薬と言われ、抗悪性腫瘍薬として知られる「メトトレキサート」などがその例です。

物理、化学的に働きかけるもの

薬の中には、薬自体に物理的・化学的性質を持っており、それが直接的に身体に変化を起こさせるものもあります。

制酸薬などはその代表例で、アルカリとしての化学的性質によって酸を中和します。また塩類下剤は、マグネシウムの浸透圧効果によって物理的に腸内の水分が吸収されないようにし、便を軟らかくします。

以上のように、薬はそれぞれ薬理作用と作用機序が異なります。これらを理解することで、理学療法を行う際のリスク管理や、症状とのつながりを考えることができるようになります。